教室ブログ
発達障害と「登園拒否・行き渋り」|理由と対応方法を解説!
こんにちは!
東京都中野区の児童発達支援事業所
「ハッピーテラスキッズ中野ルーム」です。
突然ですが、
・「保育園・幼稚園に行きたくない」と言って泣かれてしまい、朝が大変
・朝保育園についたときに、毎回号泣される
・お迎えに行ったときに、泣いたり、叩かれたりする/ご家庭で「荒れる」
など、「登園拒否・行き渋り」に関するお悩みはないでしょうか?
登園拒否・行き渋りには、発達障害(自閉症スペクトラム障害/注意欠如・多動性障害)などの特性が原因となる場合があります。また、特性が強くみられる場合でも適切な環境設定などの支援をおこなうことで、徐々に「幼稚園・保育園に楽しく通うようになれた!」というケースも多くみられます。
今回は、発達障害のある子どもの「登園拒否・行き渋り」について、「運動会が苦手で練習に参加できなかった」という事例をもとに「原因」や「対処法」を紹介します。
ぜひ最後までご覧ください。
1,登園拒否・行き渋りの原因
ここでは、代表的な事例を紹介します。
・家族と離れたくない(母子分離不安)
発達障害、特にASD(自閉症スペクトラム障害)の「共感覚性」が弱い場合、「自分に注目されている」「相手は自分を意識してくれている」という理解が働きにくいことがあります。
誰しも、自分が一番信頼している保護者の方と離れるのは不安ですが、最初は見える場所で、徐々に遠くへと「探索活動」を広げていき、徐々に「保護者の方が見えていなくても大丈夫」という自信につながっていきます。
共感覚性への意識が弱い場合、また発達障害の特性である「見えないものを感じ取りにくい」という特性が強い場合、「パパ/ママがいないけど、自分のことをどこかで見守ってくれているから大丈夫!」という安心感を持つのに時間がかかる場合があります。
また、年下のきょうだいが生まれたタイミングで「もっと自分もかかわってほしい」「赤ちゃんだけではなく、自分にも注目してほしい」といういわゆる「赤ちゃん返り」と呼ばれることも多い行動が一時的に増えることもあります。この場合、一日の中でお母さん・お父さんを「独り占め」できる時間を作ることで、徐々に解消していくこともあります。
・幼稚園、保育園に苦手なことがある
発達障害(自閉症スペクトラム障害/注意欠如・多動性障害)のあるお子さまに限らず、すべてのお子さまには「得意・不得意」なことがあります。
例えば、DCD(発達性協調運動障害)による「運動の不器用さ」によって、製作でのはさみ・お絵描きなどの手指を使った「微細運動」や、外遊びや器械体操などの「粗大運動」に遅れがあり、自信の低下につながっているかもしれません。
また、ASD(自閉症スペクトラム障害)による「明確な見通しがないと不安」「新規場面(新しい活動)への不安」「あいまいな指示・ルール理解の困難」によって、お遊戯会や運動会練習などのいつもと違う行事や活動に強い不安を抱いているかもしれません。
そのほかにも、ADHD(注意欠陥・多動性障害)による「衝動性のコントロール」が難しい場合、友だちとのかかわりの中で自分の気持ちをコントロールすることが難しくてトラブルにつながっていることや、ASD(自閉症スペクトラム障害)の「勝ちへのこだわり」によって、ルールのある遊びに参加して「勝ち負け」を意識することが難しいと感じている可能性もあります。
・体調がよくない/朝起きるのが苦手
発達障害のあるお子さまに限らず、言葉の発達途上の未就学のお子さまの場合、ご自身の体調や状況を適切に言葉で表現することが苦手だとされています。
また、「起立性調節障害(OD)」と呼ばれる状態の場合、適切な医療的なサポートにつながることで「朝、起きれるようになる」というケースもあります。
お子さまの状態をよく観察していただき、必要に応じてかかりつけの小児科などに相談してみるのもよいかもしれません。
2,「登園拒否・行き渋り」の対応方法
誰に相談すればいいの?
子どもが登園拒否・行き渋りになったとき、保護者の方も同じように不安を抱えたり、原因が分からず気持ちが不安定になったりすると思います。中には「できるだけ登園させたい」という思いから、無理に幼稚園・保育園に連れていくことでお子さまとケンカになったり、ストレスが溜まってしまうという事例も少なくありません。
最も重要なことは「登園渋りの原因を少しずつ解消し、困難なことを少しずつ減らして自信をつける」ということです。
そのため、まずは保護者の方が安心して子どもと関わることができるよう
・幼稚園、保育園の先生と、対応を相談する(必要に応じて、主任の先生や園長先生とお話できないか相談してみる)
・周りの保護者の方から、園の様子を聞いてみる
・通園先の療育(児童発達支援)や習い事の先生に聞いてみる
なども、おすすめです。
安心できる居場所を作る
まず、大前提として「園に通う・行こうとするだけで、お子さまは頑張っている」という理解が必要な段階かもしれません。登園自体が負担になっている状態であれば、その中でさらに意欲的活動をしたり、失敗を重ねながら自信をつけたりすることが難しい状態なのかもしれません。
場合によっては、休息が必要なこともあります。
そのうえで登園先が安心して過ごすことができる環境になるよう、以下の環境設定はいかがでしょうか。
・「逃げ場」や「避難基地」を用意してもらう
クラスの中で過ごすことが難しいときに、職員室や別室などでクールダウンができる部屋を用意してもらえないか相談するのもよいかもしれません。その中に好きなもの、安心できるものを置いておき、気持ちが落ち着いたら少しずつクラスに近づいていく という方法があります。最初はお子さまの「休みたい」「今は頑張れない」という意思・気持ちを尊重し、徐々に「お部屋に行きたいときは、先生に教えてね」と言葉でのやりとりを促していきましょう。
・好きなものを1個だけ持っていく
言葉で不安や安心を共有することが難しい場合は、お子さまが安心できる「グッズ」を1個、園に持っていくのはいかがでしょうか?ポシェットなどに隠しておく、ロッカーに入れておいていつでも取り出せる状態にするのもおすすめです。
持ち運びしやすいものとして、
・ぬいぐるみ
・プッシュポップ/スクイーズ(感触遊びグッズ)
・ハンカチ
・お人形
などは、鉄板の道具です。
ご自宅用と園用に、1個ずつ準備しておくのもよいかもしれません。
3,実際の事例
今回ご紹介するのは、以下の事例です。
・5歳(年長)のASD(自閉症スペクトラム障害)のお子さま
・運動会の練習のたびに、登園渋り(行き渋り)となってしまう
・今年も運動会の時期が近づいてきて、練習が増えるにつれて「行きたくない」ということが増えてきたため、保護者の方が不安を感じている
運動会練習が苦手だった原因と対処法
こちらのお子さまは明確に「運動会の時期」ということが想定されたため、具体的に運動会練習の中で苦手なことがわかれば、解決に向けたきっかけ作りができると考えられました。
まず、言葉でのコミュニケーションが得意なお子さまだったため、理由を尋ねると
「だって、どこに行ったらいいかわかんない」
「ダンスできない」
と、端的に気持ちをおしえてくれたそうです。
つまり、ASD(自閉症スペクトラム障害)での「あいまいさの理解」や、発達障害による特性でよくみられる「視覚的な場面理解の苦手さ」によって、運動会などの場所の移動が激しいイベント練習で「立ち位置」が分からくなるという困難があったようでした。
今回は「立ち位置にマーカーを置く」「マーカーに数字を貼っておき、移動先がわかるようにする」ことで、明確に場所が分かるようになり、自ら移動して待ち続けることができるようになりました。
これは、運動会に限らず日々の保育活動の中でも見られることです。
自分の持ち物、座る場所に「自分のキャラクターのシールを貼っておく」などは、活用できる方法化もしません。
また、運動の不器用、とくに「聞きながら動かす」「全身で異なる動作を同時に行う」という「協調運動技能」の苦手さがあったため、大人数の中で見本に合わせて動くことが困難なようでした。
そのため、ダンス練習のときは休憩し、自宅でビデオ練習をすることで、自分のペースに合わせて楽しく練習できるようになり、本番は無事にダンス発表もできたようでした。
4,さいごに
今回は、発達障害と「登園拒否・行き渋り」についてご紹介しました。
これらの原因には、園での環境や悩みだけでなく、お子さまご自身の特性が背景にある可能性もあります。
ハッピーテラスキッズ中野ルームでは、お子さまの特性に合わせた指導をおこないつつ、幼稚園・保育園と連携して園の様子を実際に見学したり、頑張るお子さまの様子を園の先生に見に来ていただくなどの機会も、必要に応じて設けております。
ぜひ、一度ご相談ください。
ハッピーテラスキッズ中野ルームでは、このほかにも下記の「集団レッスン(集団療育)」がございます。
・ソーシャルスキルコース
対象:3歳児(年少)~5歳児(年長)
・小学校準備コース
対象:5歳児(年長)
来年度(2024年4月~)の利用開始に向けた「ウェイティングリスト(待機)」連絡もお待ちしております。
ぜひ、一度ご連絡ください。
その他、ささいな相談でも結構ですので、お気軽にご連絡ください。
今回もご覧いただき、ありがとうございました!
【ハッピーテラスキッズ中野ルーム】
メール:kids-nakano@happy-terrace.com
電話:03-5328-1810
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