柏教室

面接で言葉に詰まる受験生:ASDの特性と療育による支援・対策を解説!

こんにちは!

千葉県柏市の放課後等デイサービス(主に発達障害・特性のある中高生対象・就労準備型:プログラミングコース、e-Sportsコース、就労準備コース)

「ハッピーテラス柏教室」です。

「志望動機を教えてください」
「あなたの長所と短所は?」

子どもの高校受験や就職活動が近づくにつれ、「面接」が保護者の方にとって大きな子育ての悩みになります。「うちの子、発達に特性があるけれど、面接でうまく対応できるだろうか」「コミュニケーションでつまずき、不安で頭が真っ白になったら…」といった悩みは、本人が実際に困っているだけでなく保護者の方も心配される場合が多いです。

就労準備型放課後等デイサービス「ハッピーテラス柏教室」の「就労準備コース」でおこなったSST(ソーシャルスキルトレーニング)の一環である「面接練習」に関して、

  • 敬語の使い方が難しい(コミュニケーションにおける相手との距離感の問題)
  • 身だしなみやマナーが分からない(他者視点や社会生活の文脈理解の特性)
  • 強い不安でパニックになる(「いつもと違う」という状況の変化への弱さ)

などの相談をよくお受けします。

今回は特にご相談の多い「質問に対して言葉が出てこない・黙り込んでしまう」という発達や発達特性に起因するの課題について。ASD(自閉症スペクトラム障害)診断を受けている中学3年生のお子さまの高校受験における面接練習場面におけるトレーニングでおこなった実際の支援事例をもとに、その原因とご家庭でもできる具体的なサポートや対応を解説します。

なぜ?「どうして」「どうやって」に答えられない【原因と障害特性】

面接という状況で言葉に詰まってしまう子どもの行動には、発達障害の特性が関係することがあります。例えば、「お名前は?」「今日は何月何日ですか?」といった事実を確認する質問には答えられても、「なぜこの学校を志望したのですか?」「どうやって困難を乗り越えましたか?」といった、理由や方法を問う抽象的な質問になると、途端に考え込んでしまう、という状況です。

これは、ASD(自閉症スペクトラム障害)や、その他の発達障害の特性として見られる「意図の理解や想像力の困難さ」が関係している可能性があります。

  • 質問の意図を汲み取り、関連する自分の経験や考えをパッと頭の中から探し出すことが難しい。
  • 耳で聞いた言葉(言語情報)を、頭の中で具体的な映像やイメージとして思い浮かべるのが苦手という認知特性や感覚の問題。
  • 言葉の細かいニュアンス(主語は誰か、受け身の表現など)の言語理解が難しく、質問自体を正確に捉えられていない場合がある。

つまり、答えが分からないのではなく、「答えを思いつくための認知・思考プロセスに発達特性上の偏りがあり、時間がかかってしまう」のです。本人のやる気や能力の問題ではなく、自信をもって成功体験を重ねられるようになるためには障害特性への理解と、一人ひとりの発達段階に応じた支援が必要です。

※お子さまの言葉の理解度や認知特性を客観的に知るサービスとして、「WISC-Ⅴ(ウィスクファイブ)」などの知能検査があります。ご家庭だけで悩まず、医療機関をはじめとする専門機関に相談するのも有効な対応です。

【実践編】ハッピーテラスでおこなった2つの「遊び」感覚の支援

面接で黙り込むという状況を防ぐため、ハッピーテラスでは「思いつくための指導」と「思いつかなかった時のための備え」という、2つのアプローチでトレーニングをおこないました!

思考の瞬発力を鍛える「思いつく練習」という指導

抽象的な質問への対応には「慣れ」も必要です。そこで、子どもが楽しめるよう、ゲーム感覚で思考の瞬発力を養う指導を取り入れました。

  1. タイムアタック形式で簡単な質問に答える
    「なぜ朝にご飯を食べるの?」「どうやってここまで来たの?」など、ごく簡単な「なぜ」「どうやって」で始まる質問に、1分間でできるだけ多く答える支援を遊び感覚でおこないます。
  2. QAカードで「自分の答え」という武器を用意しておく
    学校の面接でよく聞かれる質問や、本人がつまずきやすい質問については、あらかじめ「Q&Aカード」というツールを作成します。「あなたの長所はなんですか?」→「〇〇です。理由は~」というように、お子さま自身の言葉で答えのモデルを作っておくことで、コミュニケーションへの不安を減らし、自信を持って行動できるように支援していきします。

黙り込むのを防ぐ「お守りの言葉」

発達障害の特性の一つに、ルールや決まり事をきっちり守ろうとする「白黒思考(0-100思考)」があります。この特性をポジティブに活用し、「もし答えが思いつかなかったら、こう言う」というルール(仕組み)をお子さまと一緒に決めました。

「5秒考えて思いつかなかったら、次の言葉を言おう」

  • 「申し訳ありません。少し考えるお時間をいただいてもよろしいでしょうか」
  • 「すみません、すぐに良い考えが浮かばないため、この質問は後ほどお答えさせていただくことは可能でしょうか」

面接で最も避けたいのは、焦って黙り込んでしまうという行動です。意外と本人が思っているよりも長く見え、障害特性を理解していない相手には意欲がないと捉えられかねません。
実際に、練習風景を動画で撮影してお子さま本人に見てもらうという支援をおこなったところ、「こんなに長く黙っているなんて思わなかった」と驚いていました。客観的に自分を見ることで(メタ認知)、感覚的な時間と実際の時間のズレに気づき、対策の必要性を自覚することにも繋がりました。

【準備編】一人で抱え込まないために「合理的配慮」を知っておこう

こうした療育トレーニングと並行して、お子さまが安心して受験という状況に臨めるよう、環境を整えることも非常に重要です。高校受験などでは、申請をすることで「合理的配慮」という公的な福祉のサポートを受けられる場合があります。これは国の定める制度であり、障害のある子どもの教育を受ける権利を守るための重要な支援です。

  • 公立学校の場合:各地域の教育委員会のホームページなどで確認したり、電話で問い合わせてみましょう。
  • 私立学校の場合:学校ごとの受験要領を確認したり、直接相談窓口に問い合わせてみましょう。

また、中学校の先生(特別支援教育コーディネーターや通級指導の担当教員など)といった地域の専門機関と連携し、お子さま自身の得意・不得意や、必要な配慮をまとめた「サポートブック」を早期に作成しておくことも有効です。医療機関の医師やカウンセリングの先生、家族、学校といった様々な機関と情報を共有し、支援するという様子をお子さまにお伝えすることも、不安の解消につながる場合があります。

面接で言葉に詰まるのは、お子さまのコミュニケーション能力が低いからではありません。発達障害という特性が「わがまま」「できない」というわけではないことを理解し、一人ひとりの発達段階に合わせた適切な準備や練習を重ねることで、成功体験につながることがあります。

★まずはお気軽にお問い合わせください★

お子さまのことでお悩みの保護者の方は、ぜひハッピーテラス柏教室にご相談ください。お子さま一人ひとりに合った支援を提供し、「できた!」の体験を積み重ね、自信を育むお手伝いをしています

ハッピーテラス柏教室では、現在「金曜:就労準備コース」「火曜:プログラミングコース」に空きがございます。発達障害の特性のあるお子さまの「就労・進路」にお悩みの小学校高学年~中学生・高校生の方がいらっしゃいましたら、些細なことでも結構ですのでぜひ、ご連絡ください。

最後までお読みいただきありがとうございました。
次回の更新もお楽しみに!

【ハッピーテラス柏教室】
メール:kashiwa@happy-terrace.com
電話:04-7160-1130