教室ブログ
発達障害のある年長さんに「ひらがな」を教えたい方へ【読めない・書けない】
こんにちは!
東京都中野区の児童発達支援事業所「ハッピーテラスキッズ中野ルーム」です。
今回は、「ひらがなの発達段階と、年長さん(5歳~6歳)が読めるようになるまでの支援ステップ」をご紹介します。
小学校入学を控えて、
「名前が読めない/書けない」
「ひらがなに興味を示さない」
「保育園で文字を教えてくれない」
「いつからひらがなを教えたらいいのか」
「授業について行けるか心配」
という不安の声を耳にします。
このブログでは、ひらがなの「読み・書き」の発達段階を踏まえて、
・ハッピーテラスキッズ中野ルームでの支援事例
・お家でできるひらがな遊び
など、主に小学校入学前のお子さまが「ひらがな」を練習するときのヒントになる情報をご紹介します。
【目次】
1、今回の支援事例
2、ひらがな・読み書き発達の目安
3、ひらがな・文字を読むための土台となる3つの力
4、ハッピーテラスキッズ中野ルームでの支援のステップと言葉遊び
5、おわりに
1、ひらがなの学習に関するお悩みごと
発達に凸凹のあるお子さまを育てる保護者の方の心配事として、
・名前やひらがなが読める・書けるようになってほしいが、どれくらい「読みの理解」が遅れているのか(発達段階)/いつから教えたらいいのかが分からない
・幼稚園の友だち(年中・4歳児/年長・5歳児)は絵本を読んで楽しんでいるのに、自分の子どもはひらがなを覚えられない/教えても覚えるのが遅いから心配
・就学相談や就学前健康診断で「1年生になるまでに、持ち物に名前を書ける・読めるようにして」と言われたが、ひらがなに興味ない/学習方法/教え方が分からない
・発達障害の診断を受けたうえ、文字の読み書きが遅いので将来の成長が不安
・学校の授業についていくために、家庭でどのような練習をしたらよいかが分からない
などのお話をよく耳にします。
具体的なレッスン内容については、なぜその支援に取り組んだかをより理解していただきやすくなるように、「ひらがなの発達の目安」と「ひらがなを習得するために必要なスキル」を説明したあとにご紹介します。
2、ひらがな・読み書き発達の目安
よく、
「ひらがなはいつから教えたらいいの?」
「年長(5歳~6歳)なのにひらがなが読めない/興味がないのは発達障害なの?」
という不安の声を耳にします。
定型発達のお子さまの、「ひらがなの読み書き」の発達段階には、
年少(3歳~4歳)
身近な絵や文字(ロゴマークなど)の読みに興味を示す。
年中(4歳~5歳)
1文字に1つの読みが対応することがわかるようになる
幼稚園・保育園の中で、50音が6~8割程度読める子どもが出てくる
絵本の読みに興味が出てくる
「”り”のつく果物、な~んだ」などのクイズに答えられるようになる
年長(5歳~6歳)
4文字程度の単語の「最初の文字」「最後の文字」が言えるようになる
しりとりができるようになる
小学1年生
50音+カタカナ+80字程度の漢字を習う
小さい「ゃ・ゅ・ょ」「っ」、くっつきの「は・わ」「お・を」「へ・え」のルールを習う
文字だけの本が読めるようになる
小学2年生
小さい「ゃ・ゅ・ょ」などが、ほぼ確実に正しく書けるようになる
などの特徴があると言われています。
なお、ひらがなの読み書きは個人差が大きいとされています。幼稚園でひらがなを習うことが増えてきたものの、小学校入学までに、すべてのお子さまが50音を読めるようになるわけではありません。
また、7歳~8歳(小学2年生進級頃)までにひらがなの習得が困難な場合、SLD(限局性学習障害)がある可能性が疑われることもあります。
3、ひらがな・文字を読むための土台となる3つの力
①視空間認知
視空間認知(空間認識能力)とは、物の大きさ・高さ・奥行・距離などをすばやく判断するスキルです。
発達障害( 注意欠如・多動性障害(ADHD)/自閉症スペクトラム障害(ASD)/限局性学習障害(SLD))の子どもの中には、文字や図形の形をうまくとらえるのが苦手な子どもがいます。
自分の身体の動きや大きさなどをとらえる(ボディイメージ)や、文字の形やパーツをとらえる(形態知覚)などの力が未発達だと、
「ぬ」「ね」「あ」など『交差線が多い文字』がスラスラ読めない・覚えられない・読み間違えるなどの特徴がみられます。
また、「ふ」「な」など『パーツがバラバラな文字』をとらえるのが難しい場合もあります。
・ブロックやボタン、紐通しや靴のマジックテープがうまくできない
・人やものによくぶつかり、けがが多い(距離感をとらえるのが苦手)
・文字や図形、絵を描くときに形がゆがむ、鏡文字など書き間違いが多い(左右や上下などの特徴をまとめてとらえることが苦手)
などの特徴がある場合、
・ひも通しやボタン付けなどで、指先の力を高める
・簡単なや運筆プリントや迷路などで、枠や始点・終点を意識した運筆力を高める
・ねんどや積み木遊びなどで、形を捉える力を高める
などの遊びが、ひらがなの「書き」に必要な「形を捉えて書く」ことにつながるとされています。
②音韻意識
音韻意識とは、「音と文字を結びつける意識」のことです。
この力が未発達だと、しりとりが苦手、読みと文字の対応理解に困難が生じる場合があります。
また、「読めるようになった」という成功体験が得られにくいため、ひらがなの読みに興味がないこともあります。
例えば、「くるま」と聞いたときに、
・「く・る・ま」という3つの音でできている ととらえる 「分解課題」
・最初は「く」で最後は「ま」だった ととらえる、 「く」のつく言葉はなに?に対して「くるま」と答える 「抽出課題」
・「ま」はあった?なかった? ととらえる「弁別課題」
・「くるま」を逆さからいうと「まるく」 と答える「逆唱課題」
などの遊びを通して、ひらがなの読み書きに必要な「音韻意識」の発達段階を確認することができます。
③聴覚的短期記憶
聴覚的短期記憶とは、「聞いた言葉をどれだけ覚えられるか」という力のことです。
この力が未発達だと、ひらがなを教えても「覚えられない」「学習スピードが遅い」などの「読みの定着」に課題が生じる場合があります。
注意欠如・多動性障害(ADHD)による困りごとでよく聞かれる「指示の聞き漏らし」などと関係する場合もあります。
4、ハッピーテラスキッズ中野ルームでの支援のステップと言葉遊び
今回紹介する事例は、
・自分の名前や好きなキャラクターの名前(5個程度)は読むことができる
・名前の文字を、1文字1文字を指さしながら読むことは難しい
・文字を見比べることが難しい
などの特徴があるお子さまです。
まだ診断はついていないものの、ADHD(注意欠如・多動性障害)の特性が見られることがあり、集中力が続かない、興味関心のないものに取り組めないという課題もありました。
このため、
・1文字1文字をしっかり分解してとらえる力
・身近な単語を使って、読みと文字を対応させる力
を中心に、スモールステップで段階的に「言語」への理解を深めていくことを指導方針とし、下記のレッスンに取り組みました。
① 音の存在に気付く
・「あ」と聞こえたらジャンプしよう
・「か」のつくことばクイズ!「かめ」に「か」はある?ない?
お家でできる遊び
・お名前探しゲーム
例:「たろうの”た”」が聞こえたら手を叩こう!「かめ、りんご、”た”ぬき」
② 音の数を数える
・「カ・メ・ラ」と言いながら手を叩こう
・音の数だけシールをはろう!「うま」は何個?
お家でできる遊び
・グリコ遊び、わっかジャンプ、「1,2,3」と数えながらトランポリンなど
③ 音を取り出す
・(いくつかの絵を見せて)この中で「か」のつくものはどれ?
・「くま」 「く」は1個目?2個目?
お家でできる遊び
・積木遊び、すごろく遊びなど
④ 単語(文字)と絵カードのマッチング
・好きなキャラクター2~3個の名前とイラストをマッチングさせるあそび
・最初はヒントとして、絵に文字のヒントがあってもOK
お家でできる遊び
・「イラストマッチング」「ことばと絵のマッチング」などのプリント
⑤ 単語と語頭音(最初の文字)の結び付け
・キャラクターの絵をヒントに、単語を読んでみる
・文字を1個ずつ指さししながら、「り・ん・ごの“り”」「り・ん・ごの“ん”」などと声に出してみる
お家でできる遊び
・カルタあそび(『あっちゃんあがつく』など)
・しりとり遊びなど
というステップで、遊びを通したレッスンに取り組みました。
上記のレッスンを複数回繰り返す中で、
・身近なキャラクターの頭文字10個程度を覚えられるようになった
・しりとりができるようになった
・「これはなんて書いてる?」と文字への興味がみられるようになった
などの変化がみられるようになりました!
同時に「書くこと」にも興味が出てきたため、図形を正しくとらえられるようにジオボード(輪ゴムボード)や間違い探し、曲線なぞりや迷路にも取り組みました。
5、おわりに
今回は、「発達に凸凹のある年長(5歳~6歳)のお子さまが、ひらがなを読むまでの支援事例・ステップ」をご紹介しました。
ご家庭でもぜひ、取り入れてみてはいかがでしょうか。
最後までお読みいただきありがとうございました。
ハッピーテラスキッズ中野ルームでは、お子さま一人ひとりの発達段階に合わせた療育を提供しています。
興味がある方は、こちらまでお気軽にお問い合わせください。
【ハッピーテラスキッズ中野ルーム】
メール:kids-nakano@happy-terrace.com
電話:03-5328-1810
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