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中野ルーム

5歳のBさんが先生のお話を聞けない理由【保育園の一斉指示】

こんにちは!

東京都中野区の児童発達支援事業所
「ハッピーテラスキッズ中野ルーム」です。

保育園や幼稚園で「先生が指示をしても聞いていないことがある」と指摘されたことはありませんか?

一斉指示とは、保育園や幼稚園、子ども園などの集団生活の中で、先生が子どもたち全員に対して伝える指示のことです。

「言ったことを忘れてしまう」「人の話を聞いてない」と見られがちな子ども・保護者・保育者の悩みを中心に、「一斉指示が通らない」理由と、ハッピーテラスキッズでもおこなっているあそびや支援方法をお伝えします。


目次


1、一斉指示が通らない理由
2、支援方法
3、おうちでできる!「一斉指示」を聞く力を育てる方法
4、ハッピーテラスキッズでの支援事例
5、おわりに


今回の事例

  • ・4歳児クラスのBさん(年中)
  • ・保育園の先生から「一斉指示を聞くことができていません」と言われた
  • ・保護者は「あと1年で小学生になるのに、うまく授業についていけるか」と心配している


1、一斉指示が通らない理由


指示が通りにくい原因はさまざま。
大きく、以下の3つの技能が必要とされています。


  • ・指示に注意を向け、聞き取り、覚える力
  • ・指示を理解する力
  • ・行動を切り替え、指示を実行する力


以下は一例ですが、一つずつ見ていきましょう。


先生の指示を聞き取ることが苦手


幼稚園には多くの情報があふれています。おもちゃ、いす、机、時計、張り紙などの「視覚的な刺激」、友だちや先生の声、イスを動かす音、足音などの「聴覚的な刺激」。
先生が話し始めたらその声に耳を傾けるという、「選択的注意」の力が必要です。
ADHD(注意欠如・多動性障害)のある児童の「不注意」の特性と関わることもあります。


長い指示を覚えることが苦手


「靴を脱いで、バッグをロッカーに入れて、手洗ってきて」という3つの指示を伝えたときに、手洗いを忘れるようなことはないでしょうか?
このように、「複数の指示を出しても、いくつか忘れてしまう」のは「ワーキングメモリ」と呼ばれる「聴覚的な作業記憶」をうまく使えない状態から起きる現象かもしれません。
イラストなどで手順を見せ、視覚的に思い出すヒントを提示するなどのサポートが有効です。


指示の意味を理解することが苦手


例えば動きをあらわす「動詞」の語彙数や、「あっち、こっち、そっち」「だいたい」「はんぶんくらい」などの抽象/あいまいな指示の理解が苦手な場合があります。
また、ASD(自閉症スペクトラム障害)の診断があるお子さまの場合、「指示語」「こそあど言葉」を使わず、「3回歩いたうしろ」「10回洗ったら」などの具体的な指示が効果的な場合があります。

まずは「立つ座る、書く、切る、食べる、持つ/置く、投げる/蹴る」などの基本的な動きを表す言葉を確認したり、「単語で伝える」といった支援者の工夫も必要となってきます。
運動するときに「立つ、だね」「おいす、持ってるね」などの声掛けをするのもよいでしょう。


言われていないことを推測することが苦手


「鉛筆を取ってきて」という指示があったとします。
このとき、先生が伝えたかったことは「立っていいですよ。そして、ロッカーでリュックを開けて、筆箱から、一番長い鉛筆を1本取り出します。最後に、鉛筆を自分の机に置いて、いすに座ってください。ただし、筆箱がない人は、教室の後ろにあるお道具箱から取ってきてください。」という意味が含まれています。

「そこは察してよ!」と大人が思うようなことも、具体的に指示をすることで、納得したうえで指示に沿えることもあります。


「指示されていないことをやったら怒られる」という不安


言われてないことを実行して、怒られたことが多い子どももいます。
例えば、クラスで先生と一緒にお面を作るときに、先生は「ツノ」の作り方を説明しています。ところが、「ツノは横棒を書いて貼って、次は目と鼻を書いて…」と、どんどん次に進めたとします。そうすると先生には「今はツノの話してるから、先に進めないで」と怒られたことがあるかもしれません。「勝手に行動しちゃいけない」という「失敗体験」がないかどうかを、丁寧に確認していきましょう。

発達障害の有無に限らず、個人の中で「できること・苦手なことの差」が大きい場合、まずは「得意なことは何で、どうすればその強みを活かせるか」を考えるのがよいかもしれません。


2、支援方法


子どもの特性を正しく理解する


まずはお子さまが、どのような場面で指示が聞けないのかを考えましょう。
個別理解をおこなうことで、適切なサポートにつなげることができます。

中には失敗体験が積み重なることで、「どうせ指示を聞いても分からない」「怒られそうだから別のことをしたい」と感じる子どもがいるかもしれません。

「子どもは指示が聞けていない」のではなく、「うまく指示が伝わらなかったのはなぜだろう」と考えることで、子どもに対して”怒る”回数を減らすことができます。

また、集団生活を送る中で、周りの友だちに注意されることもあるかもしれません。
自己肯定感の低下につながらないよう、丁寧にサポートをしていきましょう。


環境設定をおこなう


子どもが先生の一斉指示に注目できるような環境設定が有効です。
例えば、より「耳」に意識が傾けられるよう、「目」から入る情報をうまく整理することも有効な支援です。

なお、「雑音があるときに、極度に話が聞き取りにくい」などの困りごとが強くみられる場合、APD(聴覚情報処理障害)が疑われることもあります。


  • ・口頭指示だけでなく、イラストや手順表などを使って、視覚的に指示を伝える(視覚情報を使う)
  • ・道具を渡す前に伝える、机をきれいにしてから指示を出す(視覚情報を減らす)
  • ・教室の掲示物を減らす(視覚情報を減らす)


指示の出し方を工夫する(おススメ)


  • ・目が合ってから/静かになってから話す
  • ・「みんな、○○くん、お話しするね」と、個別に呼びかける
  • ・「短く」「はっきり」「単語を強調して」伝える(例:まず、”手洗い”を、します。次に、”トイレ”に、行ってください)
  • ・指示の個数を少なくする(1工程~2工程程度)
  • ・具体的に伝える(△:出かけるから準備して! ○:”この靴下を履こうね!”10秒だよ、せーの、1,2…)
  • ・「3つ、お話するね」など、指示の個数を最初に明示する
  • ・終わったらどうするか(次のことや目的)を伝える(例:廊下に並んで、先生が”行きましょう”と言ったら行くよ。お遊戯室で劇の練習をするからね)


3、おうちでできる!「一斉指示」を聞く力を育てる方法


いつから練習するの?


「一斉指示のトレーニングは何歳から?」ということはありません。
お子さまの発達段階に応じて、「聞くと楽しい!」といった成功体験が安心して得られることが重要です。
下記の目安を参考に、環境設定と並行して、遊びの中で育てるとよいかもしれません。


  • ・3歳児(年中):1工程~2工程
  • ・4歳児(年中):2工程~3工程
  • ・5歳児(年長):3工程程度


また、必要に応じてご家族・保育園・幼稚園と相談するのもよいかもしれません。
お住いの自治体の「発達相談」に連絡してみる、という方法もあります。


お家でできる「聞く」遊び


スリーヒントクイズ


発達の目安:4歳児(年中)~
「複数の指示を覚えられない」などの苦手さにおススメ!
最初は「黄色くて、すっぱいもの、なーんだ」などのように「2ヒントクイズ」にしたり、イラストを提示して応えやすいようにしたりするといいかもしれません。


ビーチフラッグ/お買い物ゲーム


発達の目安:3歳児(年少)~
身体を動かすことが好きなお子さまに大人気!
最初は「ラーメン、取ってきて」などの1個のもの、慣れてきたら「みかん と ぶどう」のように2個、3個と増やしていくとよいでしょう。


よーい「ドン?」


発達の目安:4歳児(年中)~
上記のゲームに追加ルール!
指示を記憶して、遠くにある物を取ってくるルールは同じです。
違うのは、「よーい、ドン!」の掛け声を聞いてから動くこと。
「よーい、ウドン!」「ドーナッツ」など、アレンジを加えるとたのしく取り組めます。


鳴き声クイズ


発達の目安:3歳児(年中)~
音に注意を向け、イメージを広げる遊び。
生活の中でも「雨の音だね」「外で聞こえたの、バスの音かな?バイクかな?」など、意識的に特定の音に注目させるのも、有効かもしれません。


4、ハッピーテラスキッズでの支援事例


今回の事例のお子さまは、

①個別レッスンの際に、「ビーチフラッグ」や「よーい、ドン?」ゲームなどを実施。徐々に記憶する数を増やしたり、小さな声で指示を伝えたりするなどのスモールステップを提示

②集団レッスンの際に、まず見本を見せたあと、見本を隠した状態で「いち、はさみで黒い線を切ります。に、オレンジの線を折ります」などの「2工程」の指示を伝えるように環境を設定

などの支援を2か月ほどおこなっていくと、徐々に児童から
「先生、2個目ってなんだっけ?」
「静かに!お話が聞こえない!」
「今、○○って言ったね!聞こえたよ!」

などの表出が見られるようになってきました!


5、おわりに


今回は「一斉指示が聞けない年中さん(5歳児)への指導方法についてご紹介しました。

ハッピーテラスキッズ中野ルームでは、さまざまなお子さまへの支援をおこなっています。
現在空き状況が限られている状態ですが、

・ウェイティングリストへのご登録
・その他ご相談、お問い合わせ


など、いつでもお受けしております。
お気軽にご連絡ください。

今回もご覧いただき、ありがとうございました!


【ハッピーテラスキッズ中野ルーム】
メール:kids-nakano@happy-terrace.com
電話:03-5328-1810

中野区
  • 中野ルーム

「新中野駅」より徒歩3分

03-5328-1810

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