中野ルーム

おもちゃを投げるのはなんで…5歳のASD傾向の男の子の「注意引き」

こんにちは!

東京都中野区の児童発達支援事業所
「ハッピーテラスキッズ中野ルーム」です。

「わざと」悪いことをするのはなんでだろう・・・?

こうした状況になったことはありませんか?

今回は、ASD(自閉症スペクトラム障害)の特性を持つ幼児が示す「注意引き(試し行動)」についてご紹介します。特に、「家の中で物を投げる行為」に対して、環境設定を工夫することでどのような効果が得られるか、また注意引き(試し行動)の特徴や背景についてもご紹介いたします。

お子さまの行動の「理由」を考えるヒントになれば幸いです。ぜひ最後までお読みください!

基本情報と今回の事例

  • 年齢 5歳(幼稚園の年中)
  • 性別 男の子
  • ハッピーテラスに通っている理由 ASD(自閉症スペクトラム障害)の診断あり。コミュニケーションの難しさ、「物を投げる」などの行動が見られる

5歳のA君は、家でお料理の時間に車や絵本を投げて遊ぶことが多くみられます。家族が「やめて」といっても、笑ってさらに別のおもちゃを手に取り投げることが続いています。

これは、ASD特性に起因する注意引き行動として、A君が「見てもらっている」という実感を得るために行った試し行動と考えられます。身近な人からの「注目」や「安心感」を得るために、あえて「良くないとわかっている行動(物を投げる、大声を出す、激しく動くなど)をすることがあります。A君の場合、物を投げる行動は、「お料理のときにはお母さんと話せなくてつまらないから、注目してほしい」という気持ちがあり、「離れていても、見てもらっている」という感覚をとらえる力が不足しているために現れた注意引き(試し行動)と考えられます。こうした行動は、大人の反応によって強化され、結果として同じ行動が繰り返される可能性があります。

発達の目安

多くのお子さまにみられる、0歳から5歳の子どもは、以下のような発達のステップを示します。

  • 0~1歳 基本的な感覚運動スキルの発達、簡単なコミュニケーション(泣く、笑う)
  • 1~3歳 言葉の発達、模倣遊び、自己表現の始まり。親とのふれあいを通じて安心感を得る時期です。
  • 3~5歳 他者と遊ぶ力が発達し、協調遊びが見られたり、自己主張が増えたり、集団でのルールの理解も少しずつ見られるようになります。

注意引き(試し行動)の特徴と背景

注意引き(試し行動)は、子どもたちが自分に対する関心(注目を集めること)や安心感を得るために、あえて周囲の反応を引き出そうとする行動です。具体的には、

  • 反復行動:同じ行動を繰り返すことで安心感を得るための行動
  • 自己刺激:自分にとって心地よい感覚や反応を得るための行動
  • 注目の強化:大人が反応することで、その行動が「見てもらえた」という安心感をもたらし、行動を繰り返すようになる状態
  • コミュニケーション:言葉での表現が難しいため、試し行動を通じて自分の気持ちや要求を伝えようとする可能性

これらの行動は、決して「相手が嫌いだ」「相手を傷つけよう」という意図はなく、「不安」や「環境変化への対応」として現れることが多くあります。こうしたお子さまの気持ちを考えながら、行動の背景にある不安や要求を解消するために、別の行動を教えていくことが有効です。

今回行った支援と、その後の成長

今回の支援では、お母さまから家庭の状況をしっかり聞き取り、まず家庭内の環境調整を徹底しました。具体的には、投げられる程度の遊具を出す時間と、そうでない時間を明確に分けるようにしました。また、料理中はA君に安心感を与えるため、好きな動画を見る時間にし、できるだけ「動画に関するお話」を声をかけ続けるようにしました。これにより、A君の物を投げる行動は徐々に減っていきました。

最後までご覧いただき、ありがとうございます。

ささいな相談でも結構ですので、お気軽にご連絡ください。

今回もご覧いただき、ありがとうございました!

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