発達障害とは?【知っておきたい基礎知識】
メディアなどで最近よく耳にすることも多い「発達障害」ですが、まだ世の中では理解が進んでいないのが現状です。
正しい知識を持つことで、発達障害のあるお子さまへの正しいアプローチの仕方を知ることができます。
「発達障害」とはどんな障害なのか、詳しく説明しましょう!
発達障害は、先天的な脳や神経系の障害です。症状の現れ方は人によって異なりますが、脳の機能に特性があることで、言語面や運動面、認知面、対人面などにさまざまな能力のアンバランスがみられます。
発達障害には、いくつかの種類が含まれています。
1.発達障害とは?
法律上では
発達障害者支援法では、発達障害は「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、注意欠陥多動性障害、その他これに類する脳機能の障害であって、その症状が通常低年齢において発現するもの」とされています。医学的な診断基準では
アメリカ精神医学会発行のDSM-5(精神疾患の診断と統計マニュアル第5版)の基準では、「神経発達障害(症)」というカテゴリーで、さまざまな障害が含まれています。2.発達障害に共通する特徴
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障害自体が完治するものではない
先天的な脳や神経系の障害であるため、特性自体が大きく変化したり、障害自体が完全に治るものではありません。 -
発症は乳幼児期~小児期
発症は乳幼児期~小児期であり、通常低年齢で症状があらわれます。成人になってからその症状に気づき、診断を受ける場合もあります。 -
発症の原因は完全にはわかっていない
明確な原因は解明されていませんが、遺伝的要因を含む複数の要因による影響があると考えられています。 しつけや育て方、努力不足などが原因で発症するものではありません。 -
複数の障害が併存することもある
発達障害のうち、いくつかの障害が併存することがあり、知的障害を伴う場合もあります。 -
二次的な障害が併発することもある
特性を理由とした様々な困難により、精神疾患を発症したり、行動面に障害が起きるなど、二次的な障害を併発することもあります。
3.発達障害の診断
発達障害の診断は、現在の状態や生育歴、行動観察や知能検査の結果などから、医師による総合的な判断として行われます。発達等が気になる場合には、まず、専門の医師に相談してみていただくとよいでしょう。
- お子さまの場合
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:小児神経科や児童精神科など
※お住いの自治体の保健所や乳幼児健診等で相談できる場合もあります。
- 成人の場合
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:発達障害の専門外来を設置している病院、精神科、心療内科など
4.発達障害の支援
発達障害は脳や神経系の障害であるため、先天的な脳機能の特性など、障害そのものを治療することは困難です。そのため、療育等の支援を受けることを通じて自身の障害を受容し、生活していくためのスキル習得を目指したり、自身の特性を説明し、周囲の理解を得ることで、ご本人が適応しやすい環境を整備していくことが重要になります。
発達障害の支援には、主に心理社会的なサポートと、薬物治療があります。
- ■薬物治療
自閉症スペクトラム障害(ASD)や限局性学習障害(SLD)の中核症状への治療薬はありませんが、注意欠如・多動性障害(ADHD)には、多動性・衝動性・不注意といった中核症状への効果が認められている薬があります。ただし、症状を根本から治すものではなく、一時的にやわらげるものであり、心理社会的なサポートと併用していく必要があります。 -
■心理社会的なサポート
ご本人に対する療育・支援としては、
行動面:応用行動分析
認知面:認知行動療法
対人関係:ソーシャルスキルトレーニング などがあります。
ご家族に対しては、障害や対応方法の理解を支援する、ペアレントトレーニングなどがあります。
5.福祉サービスの利用
- 児童福祉法や障害者総合支援法などにより、さまざまな福祉サービスを利用することができます。
また、発達障害独自の障害者手帳はありませんが、精神障害者保健福祉手帳を取得することができます。(知的障害を伴う場合には、療育手帳の場合もあります。)
「発達障害」やそのお子さまの特性を、お子さまと関わる周囲の大人が正しく理解することがとても大切です。
怠けている、努力が足りないと言われてしまったり人と比較をして「できないこと」を責められたりすることでお子さまが自信をなくしてしまうことに繋がってしまうのです。
正しい知識やお子さまとの接し方を知るためにも一人で悩まずに、まずは福祉サービスや専門家に相談をしてみることをおすすめします。