

年中さんの場面緘黙症の女の子:家庭と事業所でできる支援のコツを現役児童指導員が徹底解説!
集団での生活が始まる年中のお子さまが、幼稚園や保育園で言葉が出せなくなる「場面緘黙症」は、保護者の方にとって大きな悩みの種となります。家庭ではおしゃべりなのに、特定の状況で急に発語が途絶えてしまう行動は、人見知りや性格の問題ではない、不安が背景にある発達上の特性です。この記事では、場面緘黙症の女の子の事例をもとに、療育の専門家が行った具体的な支援と、早期から家庭でも取り組める対応のコツをご紹介します。言葉にできない子どもの不安に寄り添い、コミュニケーションの輪を広げるための理解を深めましょう。
Aさんのケース:具体的なエピソード

Aさんは、児童発達支援事業所に通う年中の女の子です。明るい笑顔で好奇心旺盛なAさんですが、幼稚園の先生からは「集団の場では一言も発語がない」と相談がありました。
家庭では、保護者と楽しそうにコミュニケーションをとり、歌を歌うこともできます。しかし、幼稚園や事業所に来ると、スタッフからの優しい声かけにも視線を合わせず、うつむいて固まってしまう状況でした。幼稚園での発表会では、大好きなお歌を口ずさむことすらできず、悔しそうな表情を浮かべていたといいます。Aさんにとって、特定の状況や人の前で言葉を発することに、強い不安が伴っているようでした。
困りごとの背景にある特性とは
場面緘黙症は、幼稚園や学校など、特定の状況下でのみ言葉が出せなくなる困難さです。これは発語の能力がないわけではなく、不安や緊張が極度に高まることで、反射的に言葉がロックされてしまう特性によるものです。
保護者の方からすると「話せるのに、なぜ話さないの?」と感じてしまいがちですが、本人は言葉を出したい気持ちと、不安から行動が止まってしまう状況との間で、大きな葛藤を抱えています。場面緘黙症は、人見知りとは異なり、不安を和らげるための支援が不可欠です。
場面緘黙症の主な背景にある特性
- 分離不安・社会不安: 保護者と離れることや、集団の中で注目される状況に対して、強い不安を感じます。
- 感覚過敏: 周囲の環境からの刺激(人の声、視線など)を過度に受け取りやすく、それが不安を増幅させる要因となる場合があります。
- 内向性・完璧主義傾向: 失敗を恐れる気持ちが強く、発語することで完璧にコミュニケーションが取れないのではないかという不安から、言葉を出すことを避けてしまう場合も考えられます。
発達の目安とAさんの現在地
年中期(4〜5歳)は、集団での遊びや活動を通じて、言葉を使ったコミュニケーションの練習を重ね、社会性を大きく発達させる段階です。自分の気持ちや要求を言葉で伝え、友達と協力して遊びを進める能力が育ちます。
Aさんは、家庭という安心できる状況では言葉の発達に問題が見られません。しかし、幼稚園や事業所といった集団の環境下では、不安という見えない壁によってコミュニケーションが制限されてしまっている現在地にいます。早期から専門的な理解に基づいた支援を始めることで、Aさんが不安をコントロールし、本来持っている発語の能力を集団の中で発揮できるようにサポートすることが目標となります。
ハッピーテラスでおこなった支援と、その後の成長

Aさんの療育では、公認心理師や言語聴覚士などの専門家が連携し、「安心感の構築」と「スモールステップでの成功体験」を目標に、以下のような具体的な支援をおこないました。
1. 「話す」プレッシャーをなくす支援
発語を目標とする声かけはせず、Aさんが安心して事業所にいられる環境づくりを最優先しました。
- 非言語コミュニケーションからの開始: 発語を求めず、ジェスチャー、指差し、表情など、言葉以外の手段でコミュニケーションを取ることを促しました。例えば、遊びで「はい」と言えない時は、コックリ・コックリで気持ちを示す練習をしました。
- 個別支援から段階的に: 最初は専門の先生との一対一の個別支援からスタートしました。徐々に、Aさんが安心できる友達を1人加えるなど、集団の規模をスモールステップで広げる対応をしました。
2. 「遊び」を通じた不安の軽減
Aさんが遊びに集中することで不安が和らぐよう、好きな活動を軸にした療育プログラムを実施しました。
- 得意な状況で練習: Aさんはお絵かきや工作が得意だったため、これらの活動中は発語を求めず、気持ちを絵や文字で表現する練習をしました。
- 選択活動の導入: 「遊びたいものを選んで」と言葉で問うのではなく、2つのおもちゃを提示し、Aさんが触れたり指差したりしたものを肯定し、行動を通じてAさんの気持ちを理解する対応を徹底しました。
3. 保護者との密な連携と家庭での対応
家庭と事業所での支援の一貫性を保つため、保護者の方と幼稚園の先生への支援も同時におこないました。
- 共通の合言葉設定: 家庭で発語が見られた時の状況を共有してもらい、「話せなくても大丈夫だよ」という安心できる合言葉を事業所と家庭で統一して使用するよう依頼しました。
- 先生への理解と協力: 幼稚園の先生にも場面緘黙症の特性への理解を深めていただき、集団の中でAさんの発語を求めない対応を協力してもらうことで、Aさんの不安の軽減に繋げました。
これらの支援の結果、Aさんは事業所の個別支援の場での発語が徐々に見られるようになりました。また、集団での遊びにも、言葉を出さずともジェスチャーで積極的に参加できるように成長しました。成功体験を積んだAさんは、幼稚園でも先生と文字や絵でコミュニケーションを取るようになり、不安な状況での行動が以前よりも制限されなくなりました。
まとめ:一人で悩まず、まずはご相談ください
年中のお子さまに場面緘黙症の特性が見られる状況は、保護者の方の心に大きな悩みと不安をもたらします。「家庭で話せるのになぜ」という気持ちは当然です。
しかし、早期に専門的な支援を開始することで、子どもの不安を軽減し、コミュニケーションの幅を広げ、集団生活の困難を減らすことは可能です。ハッピーテラスでは、公認心理師・言語聴覚士などの専門の先生が、子どもの特性と発達段階に合わせた療育プログラムを提供し、保護者の方と幼稚園の先生への対応もサポートいたします。
お子さまの場面緘黙症の悩みを一人で抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。私たち専門の事業所が、子どもと保護者に寄り添い、共に成長の目標達成に向けて支援いたします。

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