教室ブログ
【発達障害?不器用?】はさみがまっすぐ切れなかった4歳児の練習方法とは
こんにちは!
東京都中野区の児童発達支援事業所
ハッピーテラスキッズ中野ルームです。
「年少~年中(3歳児~4歳児クラス)ではさみの切り方が気になる」
というお困りごとはないでしょうか?
発達障害(ASD(自閉症スペクトラム障害)、ADHD(注意欠陥・多動性障害))やDCD(発達性協調運動障害)などのお子さまの中で、よく「はさみの切り方が不器用」というご相談をお聞きします。
今回は「はさみがまっすぐ切れない」という4歳の支援事例をもとに、
はさみで連続切りをするために必要な技能と、上手に切るための練習方法をご紹介します。
【目次】
1、今回の事例
2、はさみの発達段階と「お悩み別」原因あるある
3、現役指導員も実践!「はさみがうまく切れない不器用な子ども」への支援事例
4、さいごに
1、今回の事例
4歳のAちゃんは、はさみでまっすぐな線を切るのが苦手でした。
はさみを持つ練習は上手になってきました。
しかし実際に線を切ろうとすると、はさみの刃先が線をうまく狙うことができないようでした。
そのため、線とずれたところを切ってしまう様子が見られました。
2、はさみの発達段階と「お悩み別」原因あるある
はさみを操作するためには、
・はさみの開閉技能
・刃先や線を見る力
・力加減
・紙の操作(左手)とはさみの操作(利き手)を同時に行う力
などが必要です。
この章では「はさみの発達段階」のイメージを紹介したうえで、
不器用な子どもに見られがちな「はさみあるある」と、その背景にある「特性」を見ていきたいと思います。
すべてのお子さまに当てはまるわけではありませんが、
多くのお子さまで見られる「はさみの発達段階の目安」としては、
3歳児(2歳児~年少)
・はさみで「1回切り(開いた状態を、1回閉じて切り落とす」ことができる
・はさみの「開閉」が少しスムーズになる
4歳児(年中)
・切るときに「完全に閉じ切らずに」連続で長い直線を切る
・L字(曲がる)やカーブが切ることができるようになる
・「切りながら、もう一方の手を動かす」様子が見られるようになる
5歳児(年長)
・「円」や、複雑な形の切り抜きができるようになる
・折り紙の切り絵など、柔らかい紙も切る様子が見られる
などが参考になるかもしれません。
はさみのお悩み
はさみを操作する力が苦手
・正しくはさみを持てない/はさみをうまく切れない
・はさみを閉じて切ることはできるが、開くことができない
⇒はさみは切る動作よりも、開く動作の方が難しいとされています。
そのため、洗濯ばさみやなどの「手先遊び」を取り入れるとよいでしょう。
力加減がうまくできない
・急いで切ってしまい、ギザギザになってしまう
・折り紙などの柔らかい紙がうまく切れない
⇒はさみでの力調整は、「刃先から伝わる、紙を切っている感触を感じ取りながら」おこなうため、実はとても高度な技能が必要です。
粘土あそびや鉄棒ぶら下がり、ブロック遊びなどを通して、「力を入れる・抜く」練習が効果的かもしれません。
紙の操作(左手)とはさみの操作(利き手)を同時におこなう力
・おちゃわんを持ちながら、スプーンを使うことができない
・非利き手(主に左手)を動かしながら、はさみを切り進めることができない
など、ADHD(注意欠陥多動性障害)の特性にある「左右で異なる動作を同時に行う力(協調動作)」が苦手な場合でも、はさみの操作につまずくことがあります。
⇒まずは「紙を持つ操作」は補助をおこない、はさみの操作がスムーズにできるようになるのを待つのもいいかもしれません。
また、「ちょきん、ずらす。ちょきん、ずらす」など、1個ずつの動作を言語化する支援も有効かもしれません。
なお、こうした「協調動作」は年少~年中(4歳~5歳)にかけて、大きく発達することが想定されます。お子さまの段階に応じて、無理のない範囲で練習するのがよいかもしれません。
「見る力」が弱い
・はさみで線をねらうのが苦手
・線に沿って切り続けることが苦手
⇒はさみで切るときには、
・目ではさみと紙の距離を見て(入力:目で見る)、
・瞬時に位置を修正し(出力:運動)、
・切ったときの感覚を受けて(入力:固有受容感覚・触覚)、
・再度、距離感や力加減を調整する(出力:運動)
という、感覚の「入出力」を繰り返すことで、「スムーズに切る」ことができます。
このうち、目で見て動きを調整する「目と手の協応技能」が苦手な場合、上記のような困りごととつながっているかもしれません。
視線をうまく誘導するため「指で切る場所をなぞる」などの補助や、「ビジョントレーニング」と言われる練習が有効な場合もあります。
3、現役指導員も実践!「はさみがうまく切れない不器用な子ども」への支援事例
今回のお子さまは「線に沿ってまっすぐ切れない」という4歳のお子さまでした。
切り始めの様子を見ると、手元がぶれて、切り始めから線を狙うことが難しい様子がありました。
「はさみと線を同時に見続ける力」が弱く、幼児期(3歳~6歳)の発達障害のお子さまにもよく見られる「不器用さ」の特性が見られました。
さらに、「どこから切ったらいいの?」という質問が多くみられました。
これは、
・図形を切り抜くことができない(切り始めの線が書かれていない)
・「線の上を切る」という指示が、具体的に何を指すのかがわかない
など、ASD(自閉症スペクトラム障害)の特性で見られる「あいまいな指示の理解」で困っている様子も見られました。
そのため、
・切り始めの部分を「△」のように切っておく(くぼみを作っておく)
・切るための線(補助線)を1㎝程度に太くする
という補助をおこなうことで、刃先と紙をうまく見て切ることができるようになっていきました。
はじめはうまく切れないことがあったため、体を支えるなどの補助を行いました。
さらに、少しでも刃先を「△」の切れ込みに当てようとした段階で「よく見たね!」とすぐにほめてあげる機会を設けました。
できるだけ自分ひとりでできるような課題を設定し、少しでも「やってみよう」とした瞬間(3秒以内)に褒めることで、「やりたい!」と伝えてくれることも増えていきました。
4、さいごに
今回は「はさみの切り方が不器用な、4歳児の支援方法」をご紹介しました。
はさみの指導方法をもっと知りたい方向けの記事もございます。
併せてご覧ください!
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