発達障害のある子どもは依存症になりやすい? 脳の特性との関係
何度注意をしてもゲームやネットをするのをやめず、体調不良になったり生活に支障をきたしたりしている…というお子さまのお悩みを抱える保護者の方は少なくありません。
近年、「ゲーム依存症」や「ネット依存症」など、中高生以下のお子さまの依存症が増加していると言われています。また、依存症の原因のひとつに発達障害の特性があることも分かってきました。
深刻な依存症になる前に、ご家庭でのアプローチが大切になってきます。今回の記事では、発達障害と依存症の関係性について分かりやすく解説します。
「依存症」とは?
依存症とは、特定の対象に対し「やめたいのに、やめられない」状態になることをいいます。自分の意志に反して、やめることをコントロールできない障害です。
例えば、ゲームであれば「楽しい!」と感じて、自ら進んでやっているうちは依存症には当てはまりません。
一日中ゲームのことが頭から離れず、寝不足や体調不良になっても、どうしてもやめられなくなる状況が依存症です。
生活リズムや健康に影響を及ぼすだけではなく、家族や友だちとの交流よりもゲームを優先してしまうことで、対人関係面にも問題が現れることがあります。
依存症の種類
依存症の代表例を紹介します。
物質依存
薬物(睡眠薬・精神安定剤・覚せい剤・大麻等)、アルコール、ニコチン、カフェインなど
プロセス(行動)依存
スマホ、ゲーム、ネット、自傷行為、過食、買い物、ギャンブル、放火・窃盗など
医学的(国際疾病分類第11回改訂版(ICD-11))に認められている依存症には、薬物、アルコール、ゲーム、ギャンブルがあります。
発達障害と依存症の関係は?
発達障害のひとつであるADHD(注意欠如・多動性障害)は、ドーパミンの分泌量の調整がうまくいかないことが原因のひとつとなっている脳機能の障害です。
ドーパミンは、快感や多幸感などを与える神経伝達物質で、「楽しさ、興奮、達成感、驚き」などを感じたときに分泌されます。
ADHDのある方は、ドーパミンが不足しているために、やる気や集中力の低下が表れると考えられています。
一方で、興味関心がある対象に対しては、ドーパミンが非常に多く放出されることがあります。
普段ドーパミンが少ない分、極端に多くドーパミンが放出されるのです。
依存症は「ドーパミンが過剰に分泌された状況」が続くことで起こります。
依存症の例であげたゲーム、薬物、アルコールなどは、ドーパミンの分泌を強力に刺激します。ドーパミンが分泌されすぎると、その刺激に耐性ができ、さらに強い刺激を求めるようになってしまうのです。
その結果、脳はその刺激を常に求めるようになり、「やめたくてもやめられない」「それがないと我慢ができない」状況になります。
ドーパミンの分泌量がもともと調整しづらいADHDのある方は、依存症になりやすい傾向があると言われています。
依存症には分類されませんが、思春期などによくみられる「過度なダイエット」もこの脳の特性が原因であることがあります。
体重の減少は、数字や見た目で明らかな成果が見られるため、達成感を感じたときにドーパミンが過剰に放出され、健康に害が出るほどに瘦せようとし続けてしまうのです。
まずはお子さまのことを「よく見る」ことが大切
お子さまの依存症を防ぐためには、お子さまのことをしっかりと見つめ続けることが大切です。特性が原因で「特定の対象にのめりこみやすい」とお伝えしましたが、依存症にまで発展するのには「ストレス」「自己肯定感の低さ」が大きく影響していきます。
日々の学校での様子など、お子さまと積極的に会話をすることを心がけましょう。悩みごとについて自ら相談をするお子さまは多くはないので、日々の会話の中から、お子さまの小さなシグナルを見逃さないことが大事です。
次のコラム「発達障害のあるお子さまに多いゲーム障害|家庭での対策は?」で、詳しくお伝えします。
大きな問題になる前に、少しでも困っている様子がうかがえたら、支援機関を頼ることも検討してみてください。特性が根本にある場合には、適切なサポートを受けことが解決の糸口になることがあります。
放課後等デイサービス ハッピーテラスでは、お子さまの問題行動の解決や特性への工夫をサポートするだけではなく、ストレスへの対処法、自己肯定感の向上を目的としたプログラムを提供しています。
まずはお気軽にご相談ください。