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発達障害のあるお子さまへの接し方・伝え方のコツ【事例で紹介】

更新日

発達障害のあるお子さまには、一人ひとりの障害特性に配慮した「接し方・伝え方」をしていくことが大切です。お子さまにとって「理解しやすい」指示の出し方のコツを紹介します。
「なぜ話を聞いてくれないの?」「いくら言っても伝わらない!」「どうしたら言うことを聞いてくれるの?」そんなお悩みのある保護者の方も多いと思います。

1.発達障害のあるお子さまへの「伝え方」のコツ

障害特性(障害の症状・特徴)により、コミュニケーションに苦手が生じることがあり、本人の努力では解決が難しいことがあります。お子さまが理解できるように、周囲が「伝え方」の配慮をすることが大切です。

まずは「伝え方」のコツを紹介します。リアルな場面を想定して、良い例・悪い例、伝える際のポイントをまとめました。

対応の基本例①「直接的に」

お友だちと遊んでいたが、帰る時間になったため、おもちゃを片付けて帰宅準備をしてほしいとき

今遊んでいるおもちゃを片付けるよ

ほかのお友だちはみんな片づけをしているよ

簡潔に、お子さま本人に何をしてほしいかをはっきりと伝えてください。含みのある言い方、察してもらおうとするような曖昧な言い方、比喩やたとえ話ではなく、やってほしいことを直接的に伝えましょう。主語がお子さま本人になるようにすることもコツです。例えば「おもちゃを片付けてね」と言った場合、「嫌だ」と返ってくると押し問答になってしまいます。

対応の基本例②「簡潔に」

宿題・持ち物の準備・部屋の片づけなど、いくつかやらなければならないことがあるとき

まず、この宿題を終わらせてね。

宿題をやって、明日の学校の準備をして、それが全部終わったら遊んでもいいよ。

一度にいくつものことを伝えたり、複数の指示をしたりするのではなく、できるだけ1度に1つの指示や内容にして、簡潔に伝えるようにしましょう。終わったら次の指示を出します。ただし、見通しが立たないと嫌がったり不安になったりするお子さまに対しては、チェックリストにして一つずつクリアにしていく方法もあります。

対応の基本例③「具体的に」

部屋の片づけをしてほしいとき

机の上にある教科書とノートを、カバンにいれてね。

ちゃんと机を片付けなさい!

抽象的な表現、曖昧な表現ではなく、例を用いたり、数字で表したり、何をするべきか、いつまでにするべきか、などを具体的に示しましょう。「ちゃんと」「きちんと」「しっかり」などはついつい使ってしまう曖昧な表現です。「ちゃんと」とはどんな状態でそのために何をしたらいいかを考えて、それを具体的に伝えましょう。

対応の基本例④「論理的に」

お友だちのおもちゃを勝手にとって、返さなかったとき

お友だちにそのおもちゃを返してあげなさい。

お友だちにいじわるをしちゃダメよ!

何を求めているのか、どんな行動をしてほしいのかを具体的に伝えましょう。まずは結論から話し、何をするべきかがわかるようにすることが大切です。
なぜ「それをするべきなのか」を説明するためには、要点を絞って話す、時間やテーマを決めて話す、箇条書きにするなどして、見通しがもてるように伝えるようにしましょう。場当たり的に(その場で思いついたまま)話をすることや、結論がわからない話し方は避けましょう。

直接的に×簡潔に×具体的に×論理的に伝える!

行間を読むこと、暗黙のルールを察することなど、言外(直接は言葉に出さない)の意味を理解することの苦手さがあります。また、言葉を文字通りに受け取ってしまうため、比喩やたとえ話などの理解に難しさがあります。
同時にいくつものことを伝えることで混乱してしまうことがあるため、できるだけ1度に1つの指示や内容にすることで理解しやすくなります。
抽象的な表現や曖昧な表現でなく、数字を使う、図解するなどで具体的に伝えましょう。
こちらが何を求めているのか、どんな行動をして欲しいのかも具体的に伝えましょう。
もし、こちらの意図通りにお子さま本人が行動してくれなかった場合には、本人がどう受け止めたかを確認し、すり合わせをして適切な行動に導きましょう。こちらの意図通りの行動をとれたときには褒めてあげることで、理解と行動が結びついていきます。

2.発達障害のあるお子さまに「伝えるときのポイント」

次に、「伝えるときのポイント」について紹介をします。

ポイント①本人の気持ちを否定せずに、メリット・目的や意味を伝える

「もう歯磨きはしたくない!」とやらなければいけないことを拒否したとき

やりたくない気持ちにまず共感を示したあとで、歯磨きをすることで起こる良いことに気持ちを向けさせる

理由を聞かずに、叱って歯を磨かせる

まずは、お子さま本人の気持ちにいったん寄り添い、肯定してあげることが大切です。そのあとで、なぜその行動をすべきかを(できればポジティブな面から)説明しましょう。
例:「歯磨きめんどくさいよね。お母さんもそうだよ。でも歯磨きしたら、スッキリするし、虫歯にならなくて済むからね。一緒に磨こうか?」
何のためにするのか、何の目的でするのかをあらかじめ具体的に伝え、求める行動の意味を明確にしておくことも大事です。未就学児のお子さまなどは、その行動をとるメリットを伝えることが難しいことがあるため、シールやポイントなど、本人にとってのメリットを準備して、それを貯めたらご褒美がもらえるなどの工夫をしてもよいでしょう。
【補足】歯磨きや洗顔を嫌がる理由が「感覚過敏」である可能性もあります。その場合には無理強いすることでパニックに繋がる恐れがあるので注意しましょう。

ポイント②見通しを明確に・変更は事前連絡

予定の変更があったとき

事前に変更があった場合には、なるべく早い段階で本人にその旨を伝え、予定表を見せることや、なぜ予定が変更になったのかの理由を補足することで、理解を促す

予定の直前に変更の旨を伝える、もしくはわざと変更を伝えない

予定を見通すことが苦手であることが多いため、一日の予定表や時間割を作り、それを随時確認できるように準備するといいでしょう。突然の予定変更など、イレギュラーが起こることが苦手なお子さまもいるため、場当たり的に伝えるのではなく、前もって丁寧に説明をすることが重要です。新しい場所に行く、知らない人に会う、いつもと違うことが起きる場合には、事前に変更を伝えて、お子さま本人に少しでもイメージが持てるようにしておきましょう。

ポイント③注意を引き付けてから伝える

部屋の片づけをしてほしいとき

まず本人の正面に行って視界に入り、お子さまに呼び掛けてから、やってほしいことを端的に伝える

視界に入らない場所から、お子さまの名前だけ呼ぶ(やってほしいことを言わない)。後ろから急に肩をたたく(感覚過敏のあるお子さまには特に注意が必要)。

伝える際には、本人の注意を引くことが大切です。
お子さまの興味が他に行ってしまっている場合は、興味の対象となるものとお子さまの間に入って、お子さまの注意を自身に切り替えるようにしましょう。例えば、床におもちゃを広げて、座り込んで夢中になっているお子さまがいた場合、お子さまの視界の外(頭の上)から声掛けをするだけでは効果が薄くなることがあります。おもちゃで遊ぶお子さまの目線に合わせた位置から声掛けをしましょう。
「○○くん!○○くん!」と名前を連呼しても、対応の基本例③「具体的に」で紹介をしたとおり、具体的に何をしてほしいかが伝わりません。名前を呼ぶときには用件もあわせて伝えましょう。

ポイント④タイムリーにフィードバック(指摘・注意する/褒める)する

お友だちと遊んでいるときに、順番を譲ってあげることができたとき

順番を譲ったタイミングすぐに「順番を譲れるようになって、すごいね」など褒める

お友だちと遊んだ帰り道に、順番を譲ったことを褒める

行動が起こってから時間を置きすぎずに、即時に伝えることが大切です。間を置きすぎると、何についてのフィードバックなのかが曖昧になることや、行動の記憶が薄れてしまうことがあるため、行動の直後におこなうようにしましょう。その行動をまたしてほしいときには、3秒以内に褒めることで行動の定着をさせる効果が高いと言われています。
また褒め方も具体的に何が良かったかを伝え、他の子と比べたりするのではなく、そのお子さま自身の行動を褒めるようにしましょう。「いい子だね」だけで伝えると、具体的に何が良かったが分からないだけではなく、ルールにこだわりが強いお子さまの場合は、その行動をとらなかった他のお子さまを「悪い子」ととらえて、攻撃的になってしまうことがあります。
できるようになったなど褒めることだけではなく、できなかったこと・改善をしなければならないことなどの注意をするときも同様で、行動が起こったそのタイミングで伝えることが重要です。

ポイント⑤否定や叱責・指摘より、肯定語で伝える

廊下を走ってしまったとき

「廊下は歩きましょう」

「廊下を走ってはいけません」

「~しない」「~してはダメ」といった否定語での表現は、伝える側の意図する行動が直接的ではないため、どんな行動を求められているのか、わかりにくい場合があります。否定や叱責、指摘は、本来その時にすべき適切なふるまいがわからず、止められた、否定されたという経験で終わってしまうので、その時にとるべき適切な行動を伝えるようにしましょう。
また、良い行動をとりやすくさせるためには、肯定語で伝えるだけではなく、廊下を走っていたのであれば「歩きましょう」と伝えたあとに、実際に歩いてもらって、それを褒めるということが大切になります。失敗したまま終わらせるのではなく、成功させてから褒めて終わらせることで学習効果が高くなります。

「伝えるコツ」を意識し、お子さまの理解度に合わせる!

お子さま一人ひとりの障害特性により、コミュニケーションのどのポイントに苦手があるかが異なります。伝えたいことがなかなか伝わらない場合は、ポイントにそった対応を心掛け、お子さまの反応を見てみてください。
まずはご家族の方・保護者の方が、お子さま一人ひとりの障害特性を理解し、どのような配慮をすれば、「苦手」へのフォローができるかと考えることがとても大切です。
今回の記事では場面ごとに具体的な事例をもって、対応例の紹介をさせていただきました。
NG例としてあげさせていただいた内容は、それが正しいと誤解されやすいものの、実は避けるべき対応です。例えば、ただ単に声かけをおこなうのでは意味がなく、「どのように声をかけるか」が重要なのです。

3.お子さまの特性によって、伝えるコツは十人十色

お子さまが分かりやすい表現を用いることだけでなく、図解する・例や見本を示す・文章に書き起こすなど、お子さまにとって理解しやすい方法で、伝えている内容をしっかりと理解できているかどうかを確認しながら、伝えることが大切です。
発達が気になるお子さまへのアプローチをするときには、一人ひとりの特性を正しく理解し、特性に合わせた方法でおこなうことが何よりも大切です。できないことを叱責することや、できないから仕方ないと諦めてしまうことは、お子さまの成長を妨げてしまう可能性があります。

まずは、お子さまのことを話してみませんか?
この記事で紹介した「ポイント」を意識しても、なかなかうまくいかない…うちの子の場合はどのような工夫をしたらよいかが分からない…そんなお悩みがある保護者の方も多いと思います。「伝え方」だけではなく子育てに関するさまざまな悩みを抱えている方も多いでしょう。
そんなときには、発達のさまざまお子さまのサポート実績が豊富な支援機関を頼ってみることもオススメしています。

ハッピーテラスでは、お子さま一人ひとりの発達にあわせたプログラムで、「できた!」「楽しい!」を積み重ね、自己肯定感を育み、自立への第一歩を踏み出すことを目指す支援をおこなっています。

ご相談やご質問はもちろん、オリジナルプログラムの体験会、一日の流れや支援内容を説明させていただく見学会のご案内もおこなっております。
総合お問い合わせ窓口、もしくはお近くの教室にお気軽にお問い合わせください。

参考文献
  • テンプル・グランディン. (2014). 自閉症の謎を読み解く. NHK出版.
  • 日本発達心理学会 (編), 藤野博 (編), 東條吉邦 (編). (2018). 自閉スペクトラムの発達科学. 新曜社.
  • 障害者職業総合センター. (2016). 発達障害者のワークシステム・サポートプログラム ナビゲーションブックの作成と活用. 障害者職業総合センター.
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