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放課後等デイサービス(放デイ)とは?|基礎知識|2024年版

更新日

子どものことや障害のこと、療育のことを調べているときに、目にすることの多い「放課後等デイサービス(放デイ)」。学校や市・区役所、クリニックなどで紹介をされたこと、話を聞いたことがある方もいるかと思います。

放課後等デイサービスは、障害があるもしくは発達が気になる就学児(小学生・中学生・高校生)のお子さまに対し、将来の自立した生活と社会参加を目指すためのサポートをおこなう通所型のサービスです。

どんなサービスなの?利用条件はあるの?児童発達支援との違いは?どれくらいお金がかかるの?など、基礎知識を分かりやすく紹介します。
療育について詳しく知りたい方はこちらのコラムもあわせてお読みください。

※この記事は2024年9月30日に更新されました

放課後等デイサービス(放デイ)とは?

放課後等デイサービスとは、学校に就学している障害のあるお子さまや発達に課題のあるお子さまを対象とした、児童福祉法に基づく障害福祉サービスの一つです。お子さま一人ひとりに合わせた支援計画を立て、日常生活での動作の習得や集団生活への適応に向けたサポートをおこないます。

毎日の学校の放課後や夏休みなどといった長期休暇中に利用するサービスで、「障害児の学童」と呼ばれることもあります。
お子さま自身ができることを増やしたり、学校や家庭以外の場所での経験を積んだりすることで、健やかな成長を促しながら、将来的な社会的自立を目指していきます。

お子さま本人だけでなく、そのご家族へのサポートもおこなうことも役割のひとつです。
支援の一貫性を持つために、ご家庭と学校と連携しながらお子さまを支援します。

自立に向かってステップアップする子どもと、見守るスタッフ、その子どもの保護者

児童発達支援との違いは?

障害のあるお子さまに対して療育をおこなう点は共通していますが、それぞれ対象となる年齢が異なります。

  • 放課後等デイサービス:就学されているお子さま
  • 児童発達支援:未就学のお子さま

小学校入学までは児童発達支援、小学校へ入学したら放課後等デイサービスに、年齢に応じて利用できるサービスが切り替わります。

療育について詳しく知りたい方は療育とは?受けるべきか悩んでいる保護者の方へのコラムを合わせてお読みください。

利用対象は?

サービスのご利用対象となるのは、主に小学校・中学校・高校に就学している原則6歳から18歳までの障害のあるお子さまです。
障害者手帳を取得している必要はなく、医師などから療育の必要性が認められた場合には、自治体の判断により利用をすることができます。

対象となる「障害児」の定義について

厚生労働省では対象とする「障害児」を、以下と定義しています。

身体に障害のある児童、知的障害のある児童又は精神に障害のある児童(発達障害児を含む)

ただし、診断名が出ていないお子さまも対象になることがあります。具体的には、発達障害の傾向や可能性があるお子さまで、発達に課題があり療育の必要性があることが認められた場合です。
参考:児童福祉法の一部改正の概要について

年齢に関する特例について

学校教育法第1条に規定する学校(幼稚園及び大学を除く)に就学していることが条件となるため、例えば19歳であっても、高校で留年をした、高専(高等専門学校)の5年生等の場合には特例で利用することができます。

さらに、高校を卒業しても、引き続き放課後等デイサービスを受ける必要性が認められた場合には、満19歳(20歳になるまで)まで利用可能です。

福祉窓口で「手帳は必要ですか?」と不安げに聞く保護者と「診断書でも問題ありません」と答える職員

利用方法は?

放課後等デイサービスを利用するにあたり、自治体が発行する「受給者証(障害児通所受給者証)」が必要です。受給者証はサービス利用許可の証明書で、お住いの市区町村で発行することができます。
受給者証を一度取得した後は、1年に1回更新することで継続させることができます。
利用までの流れは大きく5つのステップがあります。

  1. 行政の窓口(障害福祉窓口や児童相談所等)に利用相談をする
  2. 利用する施設を検討する
  3. 施設の見学・体験をする
  4. 受給者証の申請をする
  5.  施設と契約を結ぶ

詳しく知りたい方は、ご利用について|ご利用までの流れをご覧ください。

利用料金はどれくらい?

放課後等デイサービスの利用料金は、利用費用の1割が自己負担(9割は公費負担)となり、1回のご利用あたり1,000円前後となります。また世帯の所得に応じて、月額0円・4,600円・37,200円の負担上限があり、1か月に利用したサービス量に関わらずそれ以上の費用は生じません。

ただし、事業所によっては、おやつやお弁当を注文する場合や、イベント等を実施する場合などに別途費用がかかる場合があります。

利用料金一覧

【補足】
・世帯とは「保護者の属する住民基本台帳での世帯」です。
・1回あたりの利用料金は、おおよそ10,000円前後です。自己負担は1割のため、1,000円前後でご利用いただけます。

利用頻度はどれくらい?

利用頻度は、お子さまの状況やご家庭の都合などによって調整することができます
受給者証の申請時に、お子さまに必要なサービス量に応じて月1日から23日(原則)までの上限日数が決められます。

学校生活に慣れるまで、受験が終わるまで等、お子さまの状況に応じて一時的に利用頻度を少なくするケースもあります。自立の準備が進んできた場合に、放課後等デイサービスの卒業を見据えて徐々に頻度を減らすケースもあります。
事業所のスタッフと相談しながら、お子さまに合ったペースで支援を受けることができます。

ハッピーテラスにおいても、利用頻度はお子さまによって様々ですが、週2~3日利用されるケースが多いです。

「高校生になる子ども」を想像しながら、スケジュール相談する保護者と話を聞くスタッフ

放課後等デイサービスはいつから始めるべき?

「療育は早くから始めるほうがよい」「●歳以降から始めても効果がない」と考えている方もいるようですが、私たちはそう捉えていません。
スピードや伸びる部分に差はあっても「子どもは必ず成長する」と考えていますし、実際に多くのお子さまが成長する様子を見てきました。
お子さまに困っている様子が見られたとき、それが放課後等デイサービスの利用を検討するタイミングです。

そもそも、お子さまの障害による困りごとは、年齢に応じて変わってきます。
幼少期~小学校低学年の頃までは気にならなかったことが一定の年齢になったときに「困りごと」に変わったり、周囲のお子さまと比較したときに「できない」ことが増えてきたりするケースは少なくありません。
お子さまの周囲の環境が変わったときや、求められるスキルが高くなったときに、課題が見えてくることがあります。

お子さまの発達に課題を感じている場合には、ぜひ一度相談をしてみるのがおすすめです。

実際に、中学生や高校生から利用を開始するケースもあります。
この年代のお子さまの場合、特に多いのが「人間関係の困難や同級生とのトラブル」です。

「宿題をやらずに怒る先生と怒られる高校生」について説明する保護者と、保護者の話を聞くスタッフ

放課後等デイサービスのガイドラインとは?

放課後等デイサービスは、障害のあるお子さまやそのご家族に対して質の高い支援を提供するために「放課後等デイサービスガイドライン」という事業運営に関する方針が定められています。
参考:放課後等デイサービスガイドライン(令和6年7月)

提供されているプログラムは事業所によりさまざまですが、いずれもこのガイドラインに沿って支援がおこなわれています。

放課後等デイサービスの役割

ガイドラインで定められた、放課後等デイサービスの基本的な役割について紹介します。

①子どもの最善の利益の保障

生活能力の向上のために必要な訓練や社会との交流を促進する役割です。
学校や家庭と異なる時間や場所、人間関係や体験等を通して、個々のお子さまの状況に応じた発達支援をおこなうことにより、お子さまの健全な育成を促します。

  • 「子どもの最善の利益(子どもにとって最もよいこと)」とは
    ユニセフが制定している「児童の権利に関する条約」の原則のひとつで、子どもに関することが決められおこなわれるときは、「その子どもにとって最もよいこと」を第一に考えるというものです。
カルタ大会をしている複数の児童と、横で見守るスタッフ

②共生社会の実現に向けた後方支援

お子さまの地域社会への参加や包括(インクルージョン:障害の有無に関わらずすべての人々が社会の中で尊重され能力を発揮できる環境を作ることを目指す考え方)を進め、他のお子さまも含めた集団の中での成長をサポートする役割です。
必要に応じて、放課後児童クラブや児童館等とも連携をしながら、専門的なバックアップをおこないます。

  • 「共生社会」とは
    障害の有無、年齢、性別、国籍などを問わず、さまざまな人々が分け隔てなく暮らしていくことのできる社会を指します。
共生社会

③保護者支援

障害のあるお子さまに対してだけではなく、その保護者の方をサポートする役割もあります。
お子さまのことや育児に関する相談ができるだけではなく、保護者の方がゆとりを持てるようになるための支援もおこないます。保護者の方のサポートを通じて、お子さまの発達により良い影響を及ぼすことを目指します。

  • 保護者の方への具体的な支援内容
    • 子育ての悩み等に対する相談をおこなうこと
    • 家庭内での「お子さまの育ちを支える力」をつけられるよう支援すること
    • 保護者の時間を保障するために、ケアを一時的に代行する支援をおこなうこと
放デイ内で個別支援を受ける子どもとスタッフ。同じ時間に家でほっと一息つく母親

お子さまの社会的な自立を目指すためのサポートをするだけではなく、それを支える保護者の方のフォローをおこなうサービスです。

4つの基本活動

ガイドラインで定められた「基本活動」について、具体例を用いて分かりやすく解説していきます。

①自立支援と日常生活の充実のための活動

お子さまの成長に応じて必要となる生活スキルや、将来の自立を目指すために必要となるスキルを身につけるための支援をおこないます。例えば、着替えや身だしなみ、手洗い・歯磨き、持ち物・スケジュールの管理、片付け・整理整頓、買い物・金銭管理、基本的なコミュニケ-ションなどがあります。

「できた!」という成功体験を積み重ねることで、自己肯定感を高めることも目指していきます。サポートが必要な場合は、自分から周囲の大人に助けを求めるための練習にも取り組んでいきます。

お子さまが意欲的に楽しんで取り組めるように、「遊び」を通じてスキル習得ができるプログラムを用意しています。

金銭管理イメージ図

②創作活動

「表現をする喜び」を体験し、豊かな感性を育むためのサポートをおこないます。例えば、自然に触れる機会を設けたり、机上での工作や集団での制作に取り組んだり、学校での学習とは異なる創作活動の場を提供しています。

工作で家を作っている子どもと、制作をサポートするスタッフ

③地域交流の機会の提供

お子さまの社会経験の幅を広げていくために、お住まいの地域の中で多くの人と交流できるような機会を持てるような支援をおこないます。例えば、地域の交流会やボランティアに参加する、他の福祉サービス事業所と連携し合同イベントをおこなうなどがあります。

具体的な取り組みでいうと、近隣の介護施設と合同でクリスマスイベントを開催するなどがあります。さまざまな人との交流を通じて、お子さまがコミュニケーション楽しめるようになることを目指していきます。

クリスマスイベントのイメージ図

④余暇の提供

学校や家庭では経験できないような余暇活動の機会を作り、家庭や学校外でのさまざまな経験を積み重ねていく支援をおこないます。例えば、休日や長期休暇などを利用して、事業所に通うお子さまたちと外出したり、イベントを催したりします。
自分自身をリラックスさせる方法を学ぶことや、お子さま自身が「やりたいこと」を自己選択できるようになることを目指していきます。

休日イベントの遠足のイメージ

5領域

放課後等デイサービスガイドラインの改訂(令和6年)により、「5領域」全てを含めた総合的な支援を提供することが運用基準に追加されています。
これまでは「運動療育特化型」「学習支援特化型」のように特定の分野のみに注力した施設がありましたが、お子さまのより良い成長や発達のために包括的な療育の提供をすることが義務付けられました。

5領域とは、①健康・生活 ②運動・感覚 ③認知・行動 ④言語・コミュニケーション ⑤人間関係・社会性を指します。
お子さまが将来的に日常生活や社会生活を円滑に営めるようにすることを目標に、これらの5領域を網羅した支援をおこないます。

5領域について詳しく知りたい方は 療育とは?受けるべきか悩んでいる保護者の方へ|療育の指導領域を合わせてお読みください。

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