発達障害のあるお子さま向け|性教育のススメ【家庭での取り組み編】
目次
発達障害のあるお子さまの「性的な問題行動」への対処法
「6. 代替案を考える」で触れましたが、お子さまの性的な問題行動を解決するには、子どもの行動の原因を知ることが大切です。
課題解決をするためのヒントについて紹介します。
ある行動をすることで「自分にとって良いこと、楽しい・嬉しいこと」があると認識をしているときに、行動を繰り返すことがあります。
ケース① 大きな声で性器を連呼してしまう
- 性的な発言をする ⇒ 学校の友だちが笑う
= 注目を浴びて嬉しい ⇒ 繰り返す - 性的な発言をする ⇒ お母さんがぎょっとする
= お母さんの反応が面白い ⇒ 繰り返す
などが考えられます。
1. の場合には、「○○ちゃんは楽しくない顔をしていたよ、嫌われちゃうよ」「人前で、プライベートゾーンの話は迷惑に思う人が多いから、大人になったら逮捕されちゃうことがあるよ」など、やってはいけない場面・理由と、その行動をすることで起こり得るお子さま本人にとって良くないことを伝えるようにしましょう。
2. の場合には、保護者の方が無反応を装うことが解決策になります。あわせて、やってはいけない理由を冷静に説明するようにしましょう。
ケース② 人前で性器いじりをしてしまう
- 性器をいじる → 感触が面白い → 繰り返す
- 性器をいじる → お父さんが忙しいときでも自分を注意する → 構ってもらえる → 繰り返す
などが考えられます。
1. の場合には、プライベートゾーンは人前で触ってはいけないことを伝えますが、羞恥心の理解が難しいお子さまの場合には、似た感触のボールやおもちゃ(スクイーズ)などを与えることで解決することがあります。
2. の場合には、「自分の要求」を不適切な行動で伝えているため、適切な要求のしかたを教えるようにしましょう。そして、適切な要求ができたら、その要求に応じて願いを必ずかなえてあげることが大事です。
性的な問題行動が起こったときに、なぜその行動をしたのかを、行動が起こった“そのとき”に確認するようにしましょう。
性的な行為に見えても、実は「たまたま対象が性器だった」というケースも少なくありません。その場合には、いくら「人前で性的な言動をしてはいけない」という話をしても、お子さまにとっては「性的な言動」を取っている認識がないために、解決に繋がらないことがあります。
私が考える「家庭での性教育で大切なこと」
学校教諭として、放課後等デイサービス・児童発達支援の指導員として、二児の父親として、性教育に長く携わってきました。
学校では性に関する「知識」を、家庭では性に関する「ストーリー」を教えることが大切だと考えています。
「発達障害のあるお子さまへの正しい性教育【基礎知識編】」でもお伝えしたように、学校では踏み込んだ話はしません。学校では「単語」を知る、家庭ではその単語を用いて、お子さまの理解を深めるための話をすることが求められています。
「性教育を家庭で」と言われると、難しい印象を持つ方もいらっしゃると思います。
まずは、お父さん・お母さんの出会いから結婚までのストーリー、お子さまを妊娠してから出産するまでのストーリーを、子どもが分かる言葉で語ってあげることから、はじめてみてはいかがでしょうか?
「性教育」の前に、「どう恋愛をしたか」も話すことも、教育の中でとても重要だと考えています。「性」の前に「恋愛」があることを学ぶことが必要だからです。
今回の記事では、性教育のポイントをお伝えしましたが、一番お伝えたいことは一緒に本を読んで、一緒に話をしてほしいということです。
性教育以外のことでも同じです。
子どもがどんなことを学んでいるのかを知ることで、日々の成長を感じることができます。
お子さまと接する中で、障害の特性によって、学校での学習に困難さがあることに気が付くかもしれません。
そんなときには、ぜひご家庭だけで悩みを抱えるのではなく、支援機関に相談してみることもおすすめです。
児童発達支援ハッピーテラスキッズ、放課後等デイサービスハッピーテラスでは、お子さま一人ひとりに「“今”必要な療育」を提供しています。まずはお気軽にお問い合わせください。
先生紹介:比良先生
元学校教諭×二児のパパの視点から、ご家庭で役立つ情報をお伝えします!
大学卒業後、高等専修学校に保健体育の教諭として従事。
その後、ハッピーテラスの教室長、エリアマネージャー、支援スタッフ向け研修講師、全国のハッピーテラスの保護者向け勉強会の講師など、発達障害のあるお子さまの支援に幅広く携わる。
【保有資格:高等学校教諭一種/学習支援エキスパートサポーター/ひきこもり支援相談士】