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「感覚特性」とは?感覚過敏・感覚鈍麻ってどんな症状?

更新日

自閉症スペクトラム障害(ASD)とは?【知っておきたい基礎知識】パニックの対応は?予防はできる?【自閉症スペクトラム障害】の記事でも軽く触れさせていただいた「感覚特性」について、具体例に沿って説明します。

1.そもそも「感覚特性」とは?

金属や発泡スチロールが擦れる音が苦手、柔軟剤のにおいが苦手など、音・におい・触り心地・味などの感覚に「苦手」と感じるものはありませんか?逆に、お気に入りのタオルの肌触りや、お香のかおりなど好きな感覚がある方もいるかと思います。
特定の感覚に対する苦手得意・好き嫌いは誰しも持つものですが、この「感覚」が、自閉症スペクトラム障害(ASD)がある方の場合、耐え難い苦痛や大きなストレスになることがあります。

程度や症状の現れ方は人によってそれぞれ違いますが、感覚の過敏や鈍麻という、特定の刺激に対しての敏感さ・鈍感さがあることがあります。

2. 「感覚過敏」と「感覚鈍麻」とは?

先天的な脳や神経系の障害である発達障害のひとつである「自閉症スペクトラム障害(ASD)」のある方は、周囲の人と同じ感覚情報を受け取っていても、脳が異なる捉え方をすることがあります。
刺激に対する感覚を脳が過敏に受け取ってしまうことで、些細な刺激であるにも関わらず、日常生活に支障をきたすほどの苦痛を感じることがあります。また、好きな感覚を得るために、常同行動(指をしゃぶる、飛び跳ねる、手をひらひらさせる、繰り返し大きな声を発する等)をすることがあります。
生活に困難さが生じるほど、感覚が非常に敏感であることを「感覚過敏」といい、例えば、「聴覚過敏」は特定の音、「触覚過敏」は特定の肌触りの衣服を着ること、「視覚過敏」は日差しが強く差す屋外にいること、などに苦手さが見られることがあります。
反対に、感覚に著しい鈍感さがあることを「感覚鈍麻」といい、例えば、「触覚鈍麻」は骨折をしても痛みに気づかないなどがあります。

感覚特性の代表的な例を紹介します。
下記に紹介する具体例の中には、感覚過敏のない方にも当てはまりそうなものも多くありますが、日常生活に支障をきたすほどにその症状がみられる場合のみ「感覚過敏・鈍麻」に該当します。

過敏な感覚の例

「過敏」とは、刺激に対して過度に敏感なことをいいます。

視覚:特定の視覚刺激(光や色)が苦手、敏感。

  • 太陽光や照明が異常に眩しく感じる。痛みを伴うこともある。
  • スマホ・PCの明かりが強く感じられ、目の疲労や痛みを伴うこともある。
  • 白い紙を見ると目がチカチカする。書いてある文字が読みづらい。
  • 目から入る情報が多いと混乱することや体調を崩すことがある。

聴覚:特定の聴覚刺激(音)が苦手、敏感。

  • 会話の声や人が立てる物音に対し、過剰に反応をしてしまい、疲弊することがある。
  • 雑音に敏感で、集中できなくなる、注意がそれることがある。
  • 掃除機・冷蔵庫などの家電の音や時計が進む音などが気になり、耐えられない。
  • 電車や車の通る音や工事の音に対し激しい苦痛を感じる。
  • 予期しない音や大きな音で、不安やパニックになる。

触覚:特定の触覚刺激(皮膚から感じる刺激)が苦手、敏感。

  • 特定の衣服の肌触りが苦手で、その素材の服を着ることができない。
  • 洋服のタグや縫い目が気になり、苦痛に感じる。
  • 肌が濡れる・汚れることを極端に嫌う。
  • 人から触られることに抵抗感がある。

嗅覚:特定の嗅覚刺激(におい)が苦手、敏感。

  • タバコ、化粧品、インク等のにおいを感じると、体調が悪くなる。
  • 動物園、化粧品売り場、商品売り場など苦手なにおいがある場所にいることが耐えられない。
  • 他の人が気づかない、わずかなにおいにも気づく。

味覚:特定の味や食感へのこだわりがある。

  • 特定の食べものしか食べない、偏食がある。
  • ねばねばしているものサクサクしているものなど、特定の食感を嫌がる。
  • 苦みや甘みなど特定の味を嫌がる。

鈍麻な感覚の例

「鈍麻」とは、刺激に対する反応が鈍いことをいいます。

痛覚:痛みに対して鈍感

  • 大きな怪我に気がつかない。

その他

  • 空腹感や疲労感に気が付かない。
  • 暑さ・寒さを感じない。熱いものに触れても気が付かない。

自分の好きな刺激を求めるための「常同行動」の具体例には
・大きな音や圧力、体を揺らしたり、ぐるぐる回る、手をひらひらさせたりする
・光や動き(回転するもの)に対して強い興味を示す
などがあります。

3. 「感覚特性」は無理に直そうとしない!工夫を考えることが大切。

感覚特性は、生まれつきの脳機能の障害により起こっているため、その症状を直すことは難しいと言われています。
苦手な食べ物を食べさせる、触られるのが嫌なのに手をつなぐ、強い日光や雑音が苦手なのに屋外で遊ばせるなど、お子さまが苦痛を感じていたり、抵抗をしていたりすることは、無理にさせようとしないようにしましょう。「苦手」を直すのではなく、「苦手」を軽減させるための対処法や工夫を考えることや、少しずつ計画的に「苦手」な感覚に慣れさせていく専門的なアプローチが必要になってきます。
お子さま一人ひとり異なる特性を踏まえた対応方法を見つけることで、お子さまの「生きやすさ」を目指すことができます。

障害児通所支援である「放課後等デイサービス」「児童発達支援」では、お子さまの「苦手」への対策を考え、「生きづらさ」の軽減を目指すためのサポートをおこなっています。
まずは相談してみませんか?

ハッピーテラスでは、お子さま一人ひとりの発達にあわせたプログラムで、「できた!」「楽しい!」を積み重ね、自己肯定感を育み、自立への第一歩を踏み出すことを目指す支援をおこなっています。

ご相談やご質問はもちろん、オリジナルプログラムの体験会、一日の流れや支援内容を説明させていただく見学会のご案内もおこなっております。
総合お問い合わせ窓口、もしくはお近くの教室にお気軽にお問い合わせください。

参考文献
  • テンプル・グランディン. (2014). 自閉症の謎を読み解く. NHK出版.
  • 日本発達心理学会 (編), 藤野博 (編), 東條吉邦 (編). (2018). 自閉スペクトラムの発達科学. 新曜社.
  • 障害者職業総合センター. (2016). 発達障害者のワークシステム・サポートプログラム ナビゲーションブックの作成と活用. 障害者職業総合センター.

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