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発達障害のあるお子さまが過ごしやすい環境を作るためには?

更新日

発達障害のあるお子さまへの接し方・伝え方のコツ!指示を出すうえでの注意点は?の記事では、主にコミュニケーションについてご紹介をしました。この記事では、お子さまが過ごしやすい「環境づくり」について紹介をします。
とくに自閉症スペクトラム障害(ASD)のお子さまは、「暗黙のルール」を読み取ることが苦手なため、ルールの明文化をすることや、メモを持たせる、掲示をするなど、目に見えて分かりやすい環境を作るとよいでしょう。

1.発達障害の特性を踏まえた「環境づくり」の工夫とは?

発達障害の特性を踏まえ、生活環境を可視化(ルールなどを見える化すること)・構造化(物事を仕組み化すること)することは、重要な工夫の一つです。コミュニケーションにおける工夫だけではなく、「過ごしやすい環境」を整えることを意識することも大切なのです。

ご家庭や学校などで取り組むことのできる「環境づくり」の事例を紹介します。
学校では「合理的配慮」の提供が義務化されているため、障害による苦手や困難さに対する対応を依頼することができます。幼稚園・保育園でも、可能な範囲で対応をしてくれることがあります。まずは担当の先生などに相談してみるとよいでしょう。

予定

日ごと、週ごと、月ごとのスケジュール表(予定表や時間割)をお子さまの目の触れる場所に掲示し、行動の見通しを持ちやすくしましょう。
予定の変更がある場合には、あらかじめ伝え、スケジュール表に書き込んでおきましょう。急な予定の変更があるときや、予定の変更を事前に知らされなかったときに混乱してしまいやすいため、なるべく「事前」に伝えることを心がけましょう。
いつもと違うことがあるときには、「なぜいつもと違うのか」の理由を伝え、「どのように違うのか」が目に見えて分かるように(例えば、乗車する電車の時刻表や目的地までの道順など)示しながら説明をするとよいでしょう。

空間・場所

学校や家庭など、繰り返し練習ができる場所であれば、教科書を置くところ・ランドセルを置くところ、上着をかけるところなど、用途ごとにシールやラベルを貼り、目で見て「何をするところか」理解できるようにしておきましょう。
外出時などは、荷物を置いていい場所といけない場所、入っていいエリアといけないエリアなど、場所ごとの役割を目で見て、繰り返し確認すると区別が付けやすくなります。

ルール

その場で守るべきルールは、事前に紙に書き、常に目に触れる場所に貼っておきましょう。ただし、無計画に貼り続けるとかえって効果が落ちることがあります。守れるようになったルールは、剥がして、できるようになったことを褒めるようにしましょう。
貼りだすだけではなく、ルールを書き留めたメモを持ち歩くことでも意識しやすくなることがあります。
※特に自閉症スペクトラム障害の傾向がある場合は、「暗黙のルール」や「はっきりと言われていないこと」を察することが苦手という特性を踏まえた対応を心がけましょう。
※ルールが理解できなかったからといって、いきなり注意するのではなく、まず「ちゃんと伝えていなかったね」ということを謝ってから、「実は、ルールがあるんだよ」と伝えるようにしましょう。

役割

話すとき・聞くとき、先生から教わるとき・先生と遊ぶときなどの、自分の役割ごとに取るべき行動が明確になるようにしましょう。例えば、自分が話す役割のときには、「前に出る・立つ・手を挙げる」といったことが必要になるということを教えておきましょう。
先生とお友だちで言葉遣いの区別がつけにくいお子さまの場合は、先生には目印になりやすいもの(名札など)をつけるなどして、役割を明確にすることで、区別がしやすくなることがあります。

注目ポイント

見るべきポイント・聞くべきポイントを注目すべき箇所がどこなのか分かりやすくなるようにしましょう。
文章の場合には、ポイントとなる箇所に色を付けるなど強調をする、口頭の場合には、ポイントとなる箇所をはっきりとした口調で伝える・要約して繰り返す・ポイントを板書するなど、何を見ればいいのか、どこに注目すればいいのかを明確にしましょう。

今回紹介したのは、生活環境への配慮例です。
特性は一人ひとり異なるため、苦手さや困難さへの対応もさまざまです。お子さまの特性を知り、どのようなサポートをすれば「生活が過ごしやすくなるか」を考えることが大切です。

2.感覚過敏に応じた「ASDフレンドリーデザイン」

自閉症スペクトラム障害(ASD)の「感覚特性」に配慮した環境設計や素材のデザインを「ASDフレンドリーデザイン」といいます。感覚特性については「感覚特性」とは?感覚過敏・感覚鈍麻ってどんな症状?の記事をご確認ください。
特性に対する工夫があることで、不要なパニック・混乱や不安を起こしづらくなります。
ASDフレンドリーデザインの具体例を紹介します。
「レイアウト/空間設計」など、すぐにご家庭で対応ができないものもありますが、物件探しや家を建てるとき、部屋の模様換えやリフォームをするとき、学校や施設などの利用見学をするときなどのチェックポイントとしてお役立ていただけます。
環境づくりが難しい場合の代替案もご紹介します。

項目

配慮事項(例)

レイアウト/空間設計

  • ・各活動(遊ぶ場所・勉強する場所・服を脱ぐ場所・物を片付ける場所など)をエリアごとに、色などで区別ができるようにする。
  • ・疲れが生じたときなどに休憩ができるスペースを設ける(空き教室など、静かな場所)。
  • ・目的の部屋までの道順や何をする部屋なのかが分かるように案内図を掲示する。
  • 長い廊下は避ける。
  • ・壁や柱などは角がない丸みを帯びたものにする。
  • 個別の活動スペース(間仕切りをするなど)を設ける。

※リフォーム等が難しい場合には、角がある柱にはクッション材などのDIYグッズを利用して安全なスペースを作る、パーテーションなどで部屋を仕切って個別のスペースを確保するなどの工夫ができます。

音響

  • ・音が反響しない静かな環境、特にエアコン等の設備の騒音のない環境をつくる。
  • 雑音をできるだけ遮断する、とくに交通関係(車や電車の走る音など)や工事作業の音などが耳に入りづらいようにする。防音設備を用意する。

※騒音は、感覚処理に負荷がかかりすぎることや、不安を喚起することもあるため、特に注意が必要です。
※環境づくりが難しい場合や、聴覚過敏(周囲の音に対し、強い苦痛を感じる)のあるお子さまの場合には、耳栓やイヤーマフ、ノイズキャンセリングヘッドフォンなどの使用をおすすめします。

色やパターン

  • 低刺激なものにする。複雑・細かすぎるパターンは避け、シンプルなパターンにする。明るい白や赤やオレンジなどの鮮やかで刺激過剰な色は避け、弱めで光沢や濃淡の少ない色にする。ガラスや鏡などによる光の反射が起こりにくいようにする。

換気や遮光

  • ・日光が強い場合は、ブラインドなどを使い、眩しさを回避できるようにする。
  • ・照明の明るさに不快感や苦痛さがある場合には、サングラスなどの着用をする。
  • ・嗅覚過敏(においに対し、強い苦痛を感じる)がある場合には、空気の入れ替えやサーキュレーターなどを用いる。

照明

  • ・照明(蛍光灯・LED)は、明るすぎるもの、チカチカするものは避ける。間接照明にするとより良い。光量を調節出来るようになっているのが望ましい。

ユニバーサルデザインの導入に積極的なアメリカでは、自閉症スペクトラム障害のお子さまの特性に応じた公共施設(公園など)が増えてきています。日本では、身体障害のある方に配慮がされている施設が増えてきているものの、発達障害のある方への対応はまだ進んでいません。
前項でもお伝えしたように学校へは「合理的配慮」として、特性への対応をお願いができるケースがありますので、まずは相談してみるとよいでしょう。環境そのものを変えることが難しいケースもありますが、その際にはサングラスやイヤーマフなどの着用を認めてもらうなど、お子さまが過ごしやすくするための調整をおこなってみてください。

3.お子さまの特性に合わせた工夫を考える

障害による苦手さは一人ひとり異なります。また、苦手さが生じる理由もそれぞれで、配慮をすべきポイントも異なります。
環境づくりをしてみたものの、効果があまりみられない場合には、お子さまの特性に対する配慮内容が適切でない可能性が考えられます。
お子さまの特性を正しく理解することは簡単ではありません。ぜひ、発達障害のあるお子さまのサポートをおこなっている支援機関に相談をしてみてください。

ハッピーテラスでは、発達障害のあるお子さまへの豊富な支援実績を活かしたサポートをおこなっています。
お子さま一人ひとりの特性を見極め、苦手さに対する対処法を、保護者の皆さまとともに考えていきます。

まずは、お子さまのこと相談してみませんか?
ハッピーテラスでは、お子さま一人ひとりの発達にあわせたプログラムで、「できた!」「楽しい!」を積み重ね、自己肯定感を育み、自立への第一歩を踏み出すことを目指す支援をおこなっています。

ご相談やご質問はもちろん、オリジナルプログラムの体験会、一日の流れや支援内容を説明させていただく見学会のご案内もおこなっております。
総合お問い合わせ窓口、もしくはお近くの教室にお気軽にお問い合わせください。

参考文献
  • The Children’s Hospital of Philadelphia Research Institute (2014) Autism Friendly Design Ideas
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