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療育のスモールステップとは|うまくいかないときのコツ

更新日

お子さまの発達障害の特性による「苦手」に対して、家庭で療育に取り組んでいるものの、スムーズにいかなかったり、強い拒否感を示されてしまったりした経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

これまでの記事では、家庭で「できる」を増やす方法を紹介してきましたが、今回は「うまくいかない」ときに、試していただきたい「スモールステップ」について説明します。

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焦らず子どものペースに合わせる

小学校入学や林間学校・修学旅行などのイベントの前までに、「できるようにならなければいけない」ことがあるのに、「どうしてもうまくいかない・間に合わない」という相談をいただくことがあります。

期限があるのに、お子さまが練習を嫌がったり、何度練習をしても成功しなかったりすると、保護者の方の焦る気持ちは大きくなります。

しかしながら、「療育」に取り組むときには、「お子さまのペース」に寄り添うことが何よりも大事です。
この「お子さまのペース」は、時間だけではなく、段階のことも指します。
これまでの記事で説明をした通り、「スモールステップ」で段階的に「できる」を増やしていくことがポイントです。

ステップが高すぎて届かない少年と、小さなステップで上っていく少年

お子さまの状況や特性を踏まえずに、無理に練習をさせようとすると、お子さまに大きな負担をかけてしまいます。
急ぐことで、かえって習得までの道のりが長くなることがあるため、注意しましょう。

学校生活の中で、特性によるつまずきがある場合には、「合理的配慮」として学校側にサポートを求めることもできます。
後項の「学校と連携をする」で詳しく説明します。

特性によって「苦手」なことは、一朝一夕では身につかない、と考えていただくのがベターです。
また、行動を定着させるためには「反復練習」が必要です。
できるだけ余裕を持ち、前もって対策に取り組むことをおすすめします。

スモールステップを踏む

「スモールステップ」のイメージが湧きづらいという方も少なくないかと思います。
具体的な事例に沿って、「スモールステップ」の考え方を紹介していきます。

【目標】林間学校までに、一人でシャワーを使えるようになる
【課題】感覚過敏があり、シャワーの水圧が痛いと感じる。(保護者の方が)小さな桶でお湯を流しながら、(お子さまが)身体を手でなでるようにして洗うことしかできない。

このケースの場合、いきなり「シャワーを浴びさせる」をしようとすると、お子さまは強いストレスを感じ、拒否感を抱いてしまいます。
無理にシャワーを浴びせようとすると「嫌なことをされた」とトラウマになってしまうことがあるので注意しましょう。

カレンダーを見ながら「シャワーNG!」の子どもを思い出す母親と、その後同級生と一緒にシャワーを浴びる子ども

STEP1 “今”できることを整理する

まずは「現段階でできていること」を洗い出していきます。
このケースでは、「少しずつお湯をかける」「手で身体を洗う」ことが、“今”できることです。

STEP2 補助があればできそうなことを考える

先ほどの「“今”できる」ことに、少しだけサポートをすることでできそうなことを考えていきます。
今回のケースでは、「一人で入浴」「シャワーが使える」の2つの課題がありますが、シャワーへの抵抗感が強かったため、成功までのハードルが低い「一人で入浴のファーストステップ:自分自身でお湯を身体にかけられるようになる」を次のステップにしました。

STEP3 実践の前に練習に取り組む①

何かを習得するときには、実践の前に練習を重ねることが重要です。
このステップでは、「身体を洗う」は目的とせずに、「お湯をかける」の練習をします。
ここでは、「お湯をかける」ができたら褒めるようにしましょう。そこから先は保護者の方がサポート(身体を洗ってあげる等)してもOKとします。
さらに必要に応じて、ステップを細分化していくとよいでしょう。
桶を使うことが難しければ、コップなど少量からスタートしてみましょう。
身体の部位によっても、難易度が異なることがあるので、お子さまの様子をみながら「大丈夫そうな部位」からチャレンジしてもよいでしょう。

STEP4 実践の前に練習に取り組む②

次に、2つ目の課題である「シャワーが使える」の練習に取り組みます。
まずは、「シャワーを出す」からスタートします。
シャワーに対して嫌な記憶がある場合には、シャワーそのものに対して抵抗感がある場合があります。
自分の身体に当たらないようにして、「シャワーが自分に危害を加えないもの」であることを理解してもらうことや「シャワーの調整のしかた」などを学んでもらうことを目的にします。

STEP5 実践の前に練習に取り組む③

STEP4ができたあとは「シャワーを身体にかける」練習をおこないます。
少量のお湯がでるようにしてから、まずは保護者の方自身がシャワーをかけて手本を見せ、次にお子さまにトライしてもらうようにしましょう。

STEP6 段階的に実践する

練習を繰り返し、「シャワーへの抵抗感」を減らし、「シャワーの使い方」を学んだあとに、実際に「シャワーで身体を洗う」にチャレンジします。
いきなり全身ではなく、自分の目で見えて洗いやすい「腕」だけからスタートするのがおすすめです。

発達障害の特性があるお子さまで「記憶障害」がある場合には、「嫌な想いをしたとき」の記憶が非常に鮮明に脳に残ります。
そのときの強い嫌悪感がフラッシュバックしてしまうために、トラウマなどの心の傷になりやすいのです。

服を腕まくりして自分で腕にシャワーをおそるおそるかける子どもと、見守りつつ褒める父親

お子さまに極力ストレスを与えずに、一歩ずつできることを増やしていくのを心がけていきます。

スモールステップを考えるとき、最大のポイントとなるのが、「成功できそう」なチャレンジから取り組んでいくことです。
段階的に「できた!」とお子さまに思わせることと、「大丈夫!」という安心感を持たせることを目指していきましょう。

ステップごとに、できたタイミングですかさず褒めてあげることも大事です。
細かなステップを設定し、小さな成功体験を積ませていくことで、お子さまは、自信が持てるようになったり、前向きになったりします。お子さまにとってはハードルの高いことなのに、いきなりゴールを目指そうとすると、失敗してしまうことが多いでしょう。
失敗をすることで、自己肯定感が下がったり、その対象への苦手意識が強くなったりします。

学校と連携をする

学校生活の中で、特性による困りごとがある場合には、学校側に相談をすることも可能です。

学校には「合理的配慮の提供」をする義務が課されています。
合理的配慮とは、「障害のある子どもが他の子どもと平等に教育を受けるために、学校側が必要かつ適当な変更・調整をおこなうこと」です。
具体的な配慮事項は、お子さま一人ひとりの状況や特性、学校側の負担などをふまえ、学校・保護者の方・本人と合意形成を図ったうえで決定されます。
詳しくは下記サイトをご覧ください。
3.障害のある子どもが十分に教育を受けられるための合理的配慮及びその基礎となる環境整備:文部科学省

この配慮事項を決めるうえで、最も重要なのが「お子さまの特性を正しく理解し、適切なアプローチを考える」ことですが、学校や保護者の方だけでは難しいことがあります。
障害福祉サービスである「放課後等デイサービス」では、家庭・学校と連携をし、障害のあるお子さまの生活と成長を支えるサポートをおこなっています。
家庭・学校(教育)・放課後等デイサービス(福祉)の間で、お子さまに必要な支援情報の共有をすることで、一貫した支援をおこなうことができます。

家庭・学校・福祉のトライアングルの中にいる子ども

放課後等デイサービス「ハッピーテラス」では、家庭・学校と密な連携を図りながら、お子さまにとって“今”必要な支援を提供しています。
家庭内だけではうまくいかないこと・難しいことが少なくありません。
家庭療育に悩んでしまったり、疲れてしまったりしたときの相談も受け付けております。

まずはお気軽に各教室にお問い合わせください。


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