

子どもが「鬼に捕まる」のを極度に怖がるのはなぜ?年少男児の不安を解消する集団遊びの療育
集団での遊びの定番である「おにごっこ」。多くの子どもが楽しむ一方で、ASD(自閉スペクトラム症)の特性を持つ年少のお子さまの中には、「鬼に捕まる」ことや「不意の接触」に強い恐怖を感じ、参加を拒否してしまう状況がよく見られます。保護者の方にとっては、「なぜそこまで怖がるのだろう」と悩みの種になるかもしれません。この記事では、「鬼に捕まるのが嫌」という不安の背景にあるASDの特性を専門的に理解し、ハッピーテラスがおこなった具体的な支援と、家庭でも取り組める対応のコツをご紹介します。早期からの適切なサポートで、子どもが生活の中で遊びを通してコミュニケーションや行動の発達を促すための理解を深めましょう。

Aさんのケース:具体的なエピソード
児童発達支援事業所に通う年少の男児Aさんは、ルールや時間の見通しが立つ遊びには落ち着いて参加できます。しかし、集団での「おにごっこ」が始まると、不安そうな表情で部屋の隅に座り込み、目をそらしてしまいます。
スタッフが声をかけると、「鬼にタッチされたらどうなるの?」「捕まるのが怖い」と小声で訴えました。Aさんにとって、予測不能な状況や突発的な接触を極端に嫌がる特性があるようでした。これは、Aさんの持つ感覚の特性や、社会性の発達における課題が深く関わっています。
困りごとの背景にある特性とは
「鬼に捕まるのが嫌」という行動は、単なるわがままではなく、ASDの特性に起因する不安や感覚の過敏さから生まれていることが多くあります。
1. 予測不能な状況への不安
ASDのある子どもは、見通しが立たない状況で強い不安を感じる特性があります。「おにごっこ」は誰が追いかけてくるか、いつタッチされるかなど予測が非常に難しい遊びです。この「次に何が起こるか分からない」という状況が、Aさんにとって大きな心理的な負担となります。この不安が、遊びへの参加拒否という形で現れています。
2. 感覚過敏による接触の恐怖
発達障害の特性の一つである感覚過敏が関係しているケースもあります。鬼がタッチする際の不意の接触や、相手の力加減によっては、子どもにとって「叩かれた」「ぶつかられた」という耐え難い痛みや恐怖として感じられることがあります。この感覚の特性は、療育の支援において、特に家庭で保護者が対応を考える上で重要な理解ポイントです。
3. ルール・役割の理解の難しさ
年少のお子さまにとって、鬼になる・捕まる・助けるなどのルールや役割を同時に理解し、柔軟に行動することは複雑です。特性から、ルールの変更や曖昧さを受け入れにくく、遊びの構造そのものに戸惑っている状況も考えられます。

発達の目安とAさんの現在地
年少期(3〜4歳)の発達の目安は、簡単なルールのある集団遊びを理解し、友だちとのコミュニケーションを生活の中で楽しむ段階です。
Aさんは、見通しへのこだわりと感覚過敏という特性が強く、集団の遊びの中でも特に予測不能で接触を伴う「おにごっこ」への参加に、立ち止まっている状況でした。早期に専門的な支援である児童発達支援などの療育を通じて、子どもの特性に合ったスモールステップの対応を始めることが重要です。
ハッピーテラスでおこなった支援と、その後の成長
Aさんの療育では、「捕まることへの恐怖」を直接的に解消するため、ルールの調整と安全基地の設置を目標に、以下のような具体的な支援をおこないました。
1. 捕まる=タッチのルールの調整(視覚支援の活用)
恐怖の根源である「接触」をなくすために、遊びのルールを視覚的なカードや掲示物を使って説明しました。
- 「タッチ」の代わりに「シール貼り」に: 鬼がタッチする代わりに、服にマジックテープでできた「鬼マークのシール」を優しく貼るというルールに変更しました。子ども自身でシールを剥がしたら「復活」できる対応も加えました。これにより、不意の接触を避け、捕まるという行動が視覚的に理解できるゲームへと変化しました。
- 「鬼」の役割の視覚化**: 鬼には赤い帽子やビブスを着用させ、誰が鬼であるかを視覚的に明確にしました。
2. 安全基地(セーフゾーン)の設置
不安が高まった際に、いつでも避難できる場所を遊びの状況の中に組み込みました。
- 休憩場所のルール化: 遊びのフィールド内にマットを敷き、「安心エリア」と設定しました。「ここにいれば鬼は捕まえに来ない」とルールとして提示することで、子どもの不安を軽減しました。
- スタッフの存在: 安心エリアには必ずスタッフが待機し、子どもが不安を言葉で表現したり、休憩したりできるサポートを常におこないました。
3. スモールステップでの役割の導入
鬼や逃げる人ではない、ゲームに関わる別の行動の役割から参加を促しました。
- 「笛係」や「審判」: 遊びを客観的に観察できる役割を目標に設定し、集団の中にいることに慣れるための支援をおこないました。運動が苦手な子どもでも参加できる対応です。
これらの支援の結果、Aさんは「安心エリア」の近くで遊びを観察できるようになり、ルールの変更(シール貼り)を理解したことで、「捕まる」ことへの恐怖が和らぎました。最終的に、短時間ではありますが、集団の中で遊びに参加し、成功体験を積むことができました。子どもは自己肯定感を高め、集団への参加意欲も発達しました。
まとめ:一人で悩まず、まずはご相談ください
ASDの特性を持つ子どもの子育てには、保護者の方の悩みや不安が尽きません。年少期という早期の発達段階で集団での遊びに困難があることは、家庭での対応が難しい状況を生み出すこともあります。
大切なのは、子どもの行動の背景にある特性を正しく理解し、「捕まることへの恐怖」といった不安の核心を解消するための適切なアプローチをおこなうことです。ハッピーテラスでは、お子さま一人ひとりの発達状況や特性に合わせた療育サービスを提供し、「できる」を増やす支援をおこなっています。
集団での遊びが苦手な子ども、不安が強くて行動が制限されている状況にお悩みであれば、一人で抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。私たち専門の事業所が、保護者の方と子どもに寄り添い、生活の目標達成に向けてサポートいたします。

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