【発達障害のお子さま】本当に効果がでる「しつけ」のポイント
子どものしつけ方について、本やネットなどで調べながら実践しているものの、なかなかうまくいかずに、やきもきしてしまった経験はありませんか?
- 子どもに何度注意をしても言うことを聞かない
- 子どもの「できないこと」ばかりに、目がいってしまう
- 子どもを傷つけてしまう気がして、指摘がしづらい
このようなお悩みを抱える保護者の方は少なくありません。
発達障害のあるお子さまの「しつけ」がうまくいかないとき、主な原因として2つのケースが考えられます。
1つ目のケースは、保護者の方のアプローチ方法がお子さまに合っていないときです。
この場合は、保護者の方自身が、お子さまの特性を踏まえたうえで、適切な「しつけのしかた」を理解することが大切です。
2つ目のケースは、しつけたいことが(社会生活に必要となることであったとしても)お子さまの特性に合わないときです。例えば、ADHD特性があるお子さまに「遅刻しないこと」をしつけようとしても、特性によって「予定通りの行動をすること」が難しい場合があります。
この場合には、「どうしつけるか」よりも「どのようなカバーをするか」「どのようなサポートをしてもらうか」を考えることが大切です。
私たちハッピーテラスのこれまでの経験をもとに、「アプローチ方法」に課題がある場合に、効果の出やすい「しつけ」について解説していきます。
目次
発達障害の特性に応じたアプローチが大切
「子育ての一般論」として語られていることであっても、発達障害のあるお子さまに対しては適切でないことがあります。
例えば、できるようになるまで「根気よく伝える」「口酸っぱく言う」ということは、実は逆効果です。
発達障害の特性によるもので、お子さまにとっては「難しい」「なかなかできない」ことなのに、繰り返し注意を受けることで、大きな嫌悪感を抱いたり自己肯定感が下がったりすることがあります。
また、そのときはできるようになったとしても、注意をされて厭々やっていたことは、大人になってから「注意をする人」がいなくなることで、やらなくなってしまうことがあります。
「よくある叱り文句」を使うのもNGです。
子どもが朝起きられないときには「早寝をしなさい!」と注意するのがよくあるしつけのしかたです。定型発達のお子さまであれば、「早く寝る」という一般的な対処法と本人の努力で解決することがありますが、発達障害のあるお子さまの場合には、長時間寝たからといって早く起きられるわけではなく、特性によってさまざまな「起きられない」原因があります。
特性を踏まえた対処法をおこなわないと効果が見られないことが多いのです。
発達障害の特性に応じた接し方については下記のコラムでも紹介をしていますので、あわせてご覧ください。
上手な「しつけ」の3つのポイント
私たちハッピーテラスが、発達障害のお子さまの支援をするときに、とくに心がけているポイントをお伝えします。
お子さまのしつけをするときに、保護者の方にぜひ意識していただきたい内容です。
「できない」ではなく「できた」に注目する
お子さまにスキルを身につけさせようとするときに、教える側は、お子さまの「できない」=失敗したことに目がいってしまいがちで、
「できた」=成功したことは見過ごしてしまうことが多いと言われています。
しかし、「できた」をできるだけ多く見つけてあげることが、良い行動を増やすためには重要です。
発達障害の特性が原因で「できない」場合には、本人の努力ではどうしようもないことがあります。「できない」ことには特性を踏まえたアプローチをしないと、効果が出づらいのです。
例えば、「忘れ物が多い」という困りごとがあったときに、「忘れないように、気を付けなさい」や「外出する前に、確認しなさい」と注意する方も少なくないかと思います。
しかし、「忘れ物」の背景にADHD特性の「不注意」がある場合には、気を付けることや確認すること自体が難しいために、注意を何度したところで行動が改善することは難しいと言えるでしょう。
そのため、逆に「忘れ物がなかったとき」に注目することが重要です。「できた」ときと同じ状況や環境を再現させることで、忘れ物が減るはずです。
「不注意」の傾向があるお子さまの場合、「何かに気を取られて、忘れ物をしてしまう」ケースがほとんどです。「余計なことに気を取られるな」と注意してとしても、特性によってどうしようもないために、気を取られずに行動が「できた」ときの様子を観察しないと、成功のさせ方が見えてこないのです。 まずは、特性があっても「成功」をする方法を理解することが大事です。
その「成功のさせ方」こそが工夫であり、「失敗しない方法」は工夫にはなりづらいのです。
工夫のしかたは、本やネットなどを探せば情報が出てきますが、発達障害の特性は十人十色で一人ひとり異なるため、「できた」タイミングを見逃さず、「お子さまに合う工夫」を見つけることが必要です。
「忘れ物」の工夫例として、部屋のドアに「チェックリスト」を貼って丸を書かせることがあります。
「実際に書き込みながらチェックをすれば忘れ物を防げる」という「成功」をしている場合には、この行動を定着させるためのサポートをしましょう。
しかし、専門家が推奨している方法だからといって、その子どもに合わない場合には、繰り返し練習させてもなかなかうまくいきません。
「できた」ときの行動は、注意深く観察していないと気づかないことが多いため、アンテナを張っておくことが大事です。例えば、
- 遅刻が多いが、前日に準備をしていれば時間通りに家を出ることができる
- しゃべりつづけてしまうが、猫の動画を見ていれば静かに待っていられる
などのケースがあります。
これらの「できた」ときに取り組んだ工夫やそのときの状況・条件を見極め、「できた」を再現させるためのサポートをするようにしましょう。
成功体験を繰り返し積ませることで、行動を定着させやすくなります。
成功させるための工夫は、反復練習をさせることがポイントです。
一度できると、気が緩んでしまいがちですが、「定着する」までしっかりサポートするように心がけましょう。